中国・四川省にある康定の町は、東チベットの入り口にあるため、昔から交通の要所として栄えた町でもあります。
長距離バスやシェアタクシーを利用して、東チベット各地を巡る旅行者やバックパッカーの多くは、この町を通ることになり、旅行のスケジュールによってはこの町に何泊かすることになります。
しかし、日本人バックパッカーさんの書いたブログを読むと・・
「チベット色が薄く、中国色が濃い」
「中国の他の地方都市と変わらない」
「つまらない」
といった声が多く見られます。
しかしです。
私が実際にこの「康定」の町に訪れて、3泊滞在して感じたこと・・・
「もっと長くいたい・・!」
さらに、東チベット8日間の旅を終えて、バスの窓から康定の町を眺めて感じたこと・・・
「懐かしい・・ここで途中下車したい・・!」
今回の記事では、康定の町が「つまらない」と言われてしまう理由、この町に立ち寄る重要性などについて、私が実際に滞在して感じたことや、旅行計画中の考えなどを添えてお伝えしたいと思います。
これを書いている私は、以前「バックパッカー」もやってました。
当時はタイで、バスも車も通らない、ミャンマーやラオス国境の山奥の村を隅々まで周り、そこら辺で野宿も普通でした。当然ユースやゲストハウスも使っていましたし、台所で自炊しながらの交流も好きでした。それにはそれの良さがあることを十分理解しています。
今ではパッカー卒業し、嫁さんと一緒に「一般旅行さん」としてアジア各地を旅しています。
なので「バックパッカー」と「普通の旅行者」、両方の視点を持ち合わせているので、ある程度は参考になるかと思います。
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康定の町が「つまらない」と言われてしまう理由3点
日本人のバックパッカーさん達に「康定なんてつまらないよ!」と言われてしまう理由を、実際に町歩きをしながら私なりにいくつか考えてみたのでお伝えします!
1.バックパッカーと一般旅行者では視点が違うから
まずはこれです。
私は以前「バックパッカー」(と呼んでいいのかな?放浪者の方が近い?)をやっていた時期がありまして、それになる以前は「一般旅行者(独身・ひとり旅)」でした。
そして今ではタイに住み、「一般旅行者(夫婦)」という肩書きになり、「旅」と「旅行」の中間、そして時には自分のクルマで「海外ドライブ」と「冒険」の中間など、色々なスタイルをいいとこ取りしながら楽しんでいます。
なので、過去の経験もあるため、それぞれ旅のスタイルによって視点が違うということを理解しているのです。
私の「康定」に対する感想は・・
1.「バックパッカーの視点」=「うーん、面白さには欠けるかも」
2.「一般旅行者の視点」=「おおっ、ほどよく都会で過ごしやすい!真新しい風景が楽しい!」
3.「家族づれ一般旅行者の視点」=「おおっ、近くに大病院もあるしこれなら安心だ!アクセスもいいし、ホテルもたくさんあるし、雰囲気もいいし、街がコンパクトで観光しやすい!」
となります。
なので、人によってかなり評価が分かれる町だと思いました。
ちなみに、康定はそこそこ都会なので、一般旅行さん、特に短期旅行さんの方が恩恵(メリット)を受けやすいというのも影響していると思います。
その理由をさらに深掘りしてみましょう。
2.この先さらにチベット奥地に行く人がほとんどだから
多分ですが、一番の大きな理由はここにあると感じました。
現代の旅行者やバックパッカーのみなさんは、ネットなどで東チベットの情報を集めてから旅に出発する人がほとんどだと思います。
そうすると、チベットの雄大な風景や、○○ゴンパなどの荘厳な寺院や街並みの写真をすでに見て、「あっ、私もこんなところに行きたい!」と思って、コースや行き先の選定を始めると思います。
そして出発当日・・。
成都からバスに乗り、「チベットに対する期待値が最高潮」の状態で、まずは最初の街「康定」に降り立つのではないでしょうか。
そんな気持ちが盛り上がっている状態で見る「康定」の町は、当然ですが以下のように感じることになると思います。
A.チベット色が薄い
B.中国人が多い
C.ビルが立ち並ぶ都会
・・となると、期待外れに感じてしまうのは仕方のないこと。多くのバックパッカーさんが求めているものと実際が違いすぎます。
出発前に思い描いていた「チベット」とは大きくかけ離れた町なのですから。
ちなみにこの辺りから、一般旅行さんとパッカーさんの感じ方の違いが出てきます。
3.最初に訪れる町だから
そして、これに尽きます。
2.で述べたように「この先長〜いチベットの旅路が待っている」長期の旅人にとっては、康定はあくまでも通過点であり、経由地なのです。
そして「最初に訪れる町」がここだから、感じ方がよくないというのもあると思いました。
逆にですが、もしチベットの奥地を1〜2週間ほど旅をした後、最後に「康定」に立ち寄ったとしたら・・。
「スッゲー都会!シャワー浴びれる!お湯が出る!トイレが綺麗!レストランがたくさん!カフェもある!Wi-Fiが速い!エアコンもある!虫が出ない!・・・」
となり、きっと久しぶりに見る「都会」っぷりに感激することでしょう。
日本人バックパッカーさんたちの心の中はこんな具合ではないでしょうか・・?
私は、今でもタイの奥地やラオスの山奥など、辺境の地に数週間とか滞在することが度々あるので、その気持ちはよ〜く分かります。
一方で、今回の私のように「一般旅行さん」や「短期旅行さん」の場合は、この先「長〜い旅路」が待っている訳ではありません。せっかく立ち寄った康定も、きちんと観光しようという気になるのではありませんか?
私の場合はそうでした。
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最初に「康定」の町に立ち寄る重要性
では、これから東チベット各地を回る人たちにとって、最初に「康定」の町に立ち寄ることの意味を、私の考えも添えてお話しします。
高山病予防のため、体を慣らす
東チベットにある町は、標高3000m以上の高地にあることがほとんどとなり、富士山の8合目〜山頂よりも高い町も存在します。
そして、その町に向かう交通手段は「バス」がメインになり、そのバスは「道路」を走ることになります。
当然ですが途中の道路は山道となり、峠道もたくさんあるため、乗客が気づかぬうちにグングンと標高を上げていくことになります。
中には標高4000m〜5000m近くにも達する峠も存在し、バスの乗車中に頭痛やめまい、吐き気などの症状が起こることもあるそうです。
一方、康定の町は標高2400m前後。
人によっては頭痛などの症状が出始めるかどうか・・くらいの標高になります。
私の場合、2年前のシャングリラ(標高約3400m)で頭痛に悩まされた経験から、今回の旅では康定で数日間のうちに体を慣らしてから、甘孜の町に向けて旅立つスケジュールにしました。
結果、その先の日程で多少の頭痛はありましたが、甘孜やアチェンガルゴンパなどの高地でも順応でき、無事に帰国することができました。
お医者さんの話では、高地をただ通過するだけではなく、1〜2晩「寝る」ことによって体を慣らせるとおっしゃっていました。
中華料理や現地の気候に体を慣らす
私の場合、タイ人の嫁さんと一緒の旅でした。
日本人よりも「中華料理」や「異国」、そして「寒地」に対する免疫が少ないので、山奥にある町に行く前に体を慣らす必要がありました。
嫁さんは中華料理は好き(特に四川料理!麻辣味が大好物です)なのですが、本場中国で食べるのは初めてのこと。
油や香辛料に胃がついていけるかも分かりません。
そして普段から暑い南国で生まれた嫁さんが、マイナスの気温や乾燥した空気についていけるかも未知数。
そんな中で、万が一体調を壊した場合、24時間体制の大きな病院のある康定は非常に安心感があります。夫婦旅行なので、その辺りは重点的に配慮しました。
(実際に、康定には大きな病院もいくつかあり、医療体制は良好でした。)
成都までもバスやタクシーで5〜6時間なので、最悪体調がひどくなって旅を中止する場合、それが夜中であってもすぐに成都に戻ることができます。
(甘孜からだと成都までバスで16〜18時間かかります・・空港もありません。)
このような理由から、私はまず「康定」に3泊するといった日程でスケジューリングしました。
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バックパッカーさんの視点から「康定」を楽しめるスポットは?
これまで、一般旅行の人(今回の私たち)と、バックパッカーさん(以前の私)とでは視点が違うと述べてきました。観光の要素や、嬉しいポイントがそれぞれ違います。
なので「昔の私だったらこう感じた!」という視点にちょっと戻り、パッカー時代だった過去の私に向けて伝えてみようと思います。
康定にはいくつかの観光スポットがありますが、その中で「チベット寺院」に関しては、この先に向かう町の寺院と比較してしまうと、色々な意味で到底かないません。
なので、今までに各地の絶景を見てきた「目の肥えた」パッカーさんなら、康定での数日間は「休む」に徹することになるかと思います。
そんなバックパッカーさんが楽しめるスポットは?
二道橋温泉で湯ったり
康定の中心部からタクシーで10分くらいの距離には、温泉が沸いている地域があるのです。
この「二道橋温泉」の情報はすでにたくさん出ていますね。
しかし、二道橋温泉がリニューアルされて、とても綺麗になったという情報はまだあまり知られていないはず・・。
現在は、多くのサイトに掲載されている「木の浴槽」ではなくて、新しい「タイルの浴槽」に改装されています。
なので、清潔感は格段にアップしています!
逆にその分「風情」に関してはほとんどなくなってしまいましたが。。
普段から共同シャワーなどを使うことが多いバックパッカーさんは、湯船に浸かることができる貴重なチャンスです。
(以前の私がそうでした・・。野宿時は、数日間シャワーなしなんてことも・・。タイではお寺のトイレを借りて、掃除用?のホースとバケツで水浴びしました(笑))
とはいえ、高地で温泉に入るというのは、人によってはリスクになります・・康定に滞在する目的である「高山病予防」とは逆行することになるので、かなり矛盾しますが。
温泉に関しての記事はこちら!詳しい行き方も掲載しました。
女性には嬉しいカフェも
康定の町は、良くも悪くも「中国資本」が大量に流入しています。
その分、都会にあるような、ちょっとおしゃれなカフェも最近かなり増えてきています。
今回街歩きをした時、1時間程度のうちに5軒ほど発見!店のガラスには美味しそうなスイーツのポスターが貼られ、店内では若い中国人の女の子がお茶をしながらくつろいでいました。
なので、女子旅のパッカーさんでも楽しめる要素はあると思います。
逆に、この先数日間は「都会」とお別れなので、ここでしっかりと美味しいものを味わっておくのもアリかと。
うちの嫁さんは「カフェ」に価値を見出せないタイプの人なので、残念ながら今回はパスしました・・。スイーツ食べたかったなー。ミルクプリンスムージー美味しそうだったなー。(私はスイーツ好き男子です。)
まとめ
今回の記事は、バックパッカーさんが「康定」の町をつまらないと感じる理由について、私が実際に滞在してみた感想も添えて、色々考察してみました。
やはり、一般旅行さんと、バックパッカーさんとでは視点、旅に求めるもの、今まで見てきたもの、観光の要素、嬉しいポイントなど全てが異なります。(過去の私と、今の私を照らし合わせた結果。両方経験しているので、手に取るように分かった。)
そして、特に長期旅のバックパッカーさんの場合、この先まだ見ぬチベットに対して「はやる気持ち」というのがあるため、チベット色が薄い康定はつまらなく感じてしまうのだと思いました。
逆に、今では「パッカー卒業」して「一般旅行さん」となった私からしたら、「適度な都会で、人当たりも良く、食事も美味しく、見どころもそれなりにあり、チベットの空気感もそこそこあり、アクセスも良く、ちゃんとした病院もある、気持ちいい温泉もある。」と、それらがとても魅力的に映りました。
求めるものからして、シティー派一般旅行さんの方が恩恵を享受できる町というのは間違いないでしょう。(これはほぼ間違っていないかと。なぜなら、康定市政府が「中国人の一般旅行さん」誘致に力を入れている町だから、それに合わせてインフラや町の性格まで整えている。)
感じ方は人それぞれ。
少なくとも、一般旅行として訪れた私にとっては「つまらない町」ではありませんでした。
むしろ、ほどよく居心地が良かったので、次回は温泉とスイーツ&グルメ巡りとして訪れたいくらいの町でした。(甘孜もいい町でしたが、バスで成都から16時間以上・・とにかく遠い・・・。)
視点を変えれば楽しめる町。
東チベットを回る前に、康定に数日間滞在してみるのはいかがでしょうか?
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