1月4日。
ついに東チベットを離れる日がやってきました。
甘孜から成都まで戻るルートはいくつかあり、途中康定でバスを乗り換えるルート、成都まで直通するルート、乗り合いバンを使うルートなど様々です。
今回私たちが乗車したバスは、甘孜を出発後、康定を経由して成都まで14時間で直通するバスをチョイス。
楽しかった甘孜・アチェンガルゴンパの思い出を胸に刻み、成都行きのバスが待つ「康北客运站」に向かう私たちでした。
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早朝はタクシーが少ない!
成都行きのバスは、朝6時10分発。
1日1本しか走っていないので、必然的に早朝の5時台にバスターミナルに向かうことになります。
市街地の中心部からバスターミナルまでは約2キロあるので、徒歩だと30〜40分くらいかかります。なのでタクシーを使いたいところですが・・・。
見ての通り、タクシーはおろか、一般車すら走っていません。
冬季というのもあるかもしれませんが、確実にタクシーに乗りたいのであれば前日のうちに予約しておく方が良いと思います。
また、この日午前5時の気温は「ー19℃」!!とてもじゃないけれど、重い荷物を持って歩く勇気はありません。
なので、ホテルに頼んでタクシーを呼んでもらいました。
料金はホテルの手数料も込みで30元(約500円)・・高い・・・。
もし自分で呼べば、10元もあれば行ける距離なのですが、交渉も面倒なので頼んでしまいました。
なので、ホテルからバスターミナルまでの交通手段は事前に検討しておいた方が良いです!
それでは、実際に成都までバスで移動した時の様子をお伝えしたいと思います。
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甘孜バスターミナルの開門は朝5時30分
時間に余裕を持って行動するのはいいことなのですが、このバスターミナル・・・
5時半まで施錠されていて、中に入ることができません!
周囲に開いているお店も売店もありません。
冬季は「厳寒」なので特に注意が必要です。ー19℃の中、震えながら開門されるのを待ちます。
私たちは余裕を持って、5時にホテルをチェックアウトしたので、5時20分には着いてしまいまして。
開門までの待ち時間はたった10分間ですが地獄を見ました(笑)
バスの発車は6時10分。
成都までの料金は1名254元。
チケットは事前に2名分購入しておいたので安心ですね!これ1本しか走っていないので、万が一満席だとスケジュールが崩れてしまいます。
とは言っても、現地人は当日購入の人もたくさんいたので大丈夫とは思いますが・・。
2日前から購入できるので、心配な人は事前に手配するのがおすすめです。
ーーー
5:30
解錠されたので、ターミナルの中に入ります。まずは売店で飲み物とお菓子、軽食を購入。
そして、給湯器で水筒にお茶を作ります。
そして、例によって荷物チェック。空港にあるようなX線の機械に「全ての」荷物を通します。
刃物や燃料などの持ち込みは禁止されていて、スプレー缶や液体もチェックされます。
この時、開封済みのお酒を没収されてしまいまして・・・。本当は持ち込みできるはずなのですが、おそらく係員が休憩中に飲みたかったのでしょう。
何を言っても「ダメ」の一点張りだったので、仕方ないので諦めました。
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成都行きバスを探せ!
荷物検査を通過して、改札を通ると、各地へ向かうバスが10台ほど並んでいます。
私たちが乗るのは「成都」行き。バスの正面に掲示された行先表示板を探します。
おっ、これだ!
すぐに見つかりました。漢字が読める日本人の特権ですね!
英語表示は無いので、他の外国人だと探すのに苦労すると思います。
荷物は床下のトランクに預けます。貴重品やカメラなどは車内に持ち込みましょう。
それにしても寒い・・・。
カイロを前後2個ずつ貼っているので、まだマシな方でしょうが・・。無かったらと思うとゾッとします。
車内を見渡しましたが、至ってごく普通のバスです。
残念ながら、成都ー康定間の移動で乗車したような「2:1シート」ではありません。あのバスが良かったな〜・・・。
それでも、甘孜に来るときに乗車したボロバスよりシートピッチも広く、車内も新しいのでまだいい方です。
車内にトイレはありません!なので、出発前には必ず済ませておくことをお勧めします。
さも無いとこういうことになります(笑)
発車時間が近づくと、みんな続々と乗り込んできました。
乗客はチベット人が多く、見た感じだと中国人は数人だけ。外国人は私たち2名だけの様子でした。
運転手はイケイケな中国人!首にぶら下げたサングラスが似合うやんちゃ系の人でした。(途中までは安全運転でしたが・・途中までは・・ね。)
思ったよりは快適なバス
6:10 甘孜出発
ちょっと名残惜しい気持ちを残し、バスは甘孜康北ターミナルを定刻通り発車。
しばらくすると峠道に差し掛かり、真っ暗闇を照らす光はヘッドライトのみ。この辺りは来るときに通った、標高4500mの絶景の峠だな!
しかし、暗闇の上窓ガラスが完全に凍りついているので、外は全く見えません。
仕方ないので景色は諦めて、しばらく目をつぶっていると急に眠気が襲って来ました。
ーーー
8:24 炉霍(ルーフォー)着
ここで最初のトイレ休憩です。
窓ガラスは相変わらず凍りついています。外気温はー4℃。さっきよりもだいぶ上がりましたが、それでも氷点下。
ここのトイレはいわゆる「ニーハオトイレ」!慣れていない人には結構きついと思います(笑)使用料は1元。
小銭を用意して行きましょう。
休憩時間は約10分。バスはすぐに発車します。
このバスは比較的新型のようで、サスペンションがしっかり効いています。
来るときに乗ったバスはボロで、結構ガタガタと振動が伝わってきたのと比べると、それだけでもずいぶん快適に感じます。
発車してからは、時速60〜80キロくらいで坦々と走り続けるバス。
やはり絶景だ!
こんな綺麗な景色なのに、ただの名もなき田舎なのです。スケールが大きいな中国・チベット。
道は綺麗に整備されていますが、ここ数日の雪でアイスバーン状態。
しかし全然気にするそぶりもなく、遅い車をどんどん追い越します。スピード自体は60〜70キロ程度なので怖さはそれほど感じません。
運転手は2名制で、途中のトイレ休憩のたびに交代していました。流石に1人で14時間だときついですからね!
ーーー
10:04 道孚着
ここも行きのバスで立ち寄った休憩所。発車までは約30分、ちょっと早めのお昼ご飯です!
食堂は綺麗に整備されていて、定食セットを25元で食べられます。
好きなおかずを2点選ぶやつですね!
ただ、この先まだ道中が長いので、トイレが心配な私たちはパス。
売店に行けばカップラーメンもあるので、食事が合わない人や節約派の人はお湯をもらいましょう。
10:35 発車
発車したバスは、再び成都に向けてゆっくりと進んで行きます。
この辺りから気温が上がり、凍りついた窓は完全に溶けて、外がよく見えるようになりました。
どこまでも澄んだ青空。
山肌に書かれたチベット文字。
私たちがこの景色を再び眺める日は来るのでしょうか。
渓流は半分くらい凍ったままですね。
日没後は氷点下になるので、春が来るまではこのような状態が続くでしょう。
石に仏像や文字が書かれている河原が見えると、バスは間も無く塔公(ターゴン)の町を通過します。
歴史のあるチベット寺院、綺麗な草原など、ちょっと気になる町ですね。康定からそこまで遠くないので、今度機会があれば散策してみたいところです。
ほぼ全ての石に、チベット文字が掘られています。
一体誰が書いたのでしょうか。
ここまで来ると、一般人にとってはちょっと怖い気もしますが・・・。
いや、神秘的です。
ーーー
13:21 小王休憩所着
塔公の石河原を通過してから約1時間で、バスは小王という休憩所に到着です。
ここは、行きのバスでちょっと「トイレ」系の問題・・・があった時立ち寄ったので、よーく覚えています(笑)←漏らしそうになって、苦しまぎれに車内でビニールにしたという事件です。
チベットらしい風景もここで終わり。なんか寂しい気がします。
この先にある4500mの峠を越えたらすぐに康定。
この雄大な大自然とももうお別れ。
標高4500mの峠道を下って行きます。
背後に迫る雪山。左右にうねる道。
バスはだんだんと高度を下げ、3000mを切りました。
すると、パッと開けた視界の先には康定の町。
都会です!
久しぶりの都会。
ここは成都から東チベットに向かう時、最初に立ち寄った町。私たちは3泊してゆっくりと散策した町です。
うーん、たった数日なのに懐かしい・・・。
私たちの東チベット旅は、年末にここから始まったと思うと、非常に感慨深いですね。
色々と思い出が蘇ってきます。
そんなことを考えているうちに、バスは康定ターミナルに到着しました。
14:45 ここで約15分の休憩。
康定からは高速でラストスパート!
康定を発車したバスは、高速の入口がある「泸定」の町を目指します。
2019年現在、高速道路が開通しているのは成都ー雅安間と、雅安ー泸定間。泸定ー康定間の工事は、最後の仕上げ中ということです。
この区間が開通したら、さらに30分ほど時間短縮されるとこのと。
康定を発車してから約1時間ほどで、泸定の町に到着。バスはそのまま高速のインターへ!
段差も少なくなり、カーブもゆるいため乗り心地が一段とよくなりました。
ーーー
18:10 雅安到着
夕方薄暗くなってきた頃、バスは雅安インターで一度高速を降ります。ここで最後の休憩!
小さな食堂付きの休憩所で30分の夕食タイムです。
この時、嫁さんと話した結果・・・
私「あと2〜3時間で成都に着くけど、ここで食べないで成都でお腹いっぱい食べる?」
嫁「麻辣!?」
私「そーだよ!成都は麻辣の本場だよ!」
嫁「じゃ我慢する!」
実際はこの時点で「かなり」お腹が空いていたし、甘孜で購入したお菓子やソーセージもすでに食べきってしまい、手元に食料は何もありませんでした。
しかしです。
ニーハオトイレと横並びになっている厨房を見てしまい、ここで食べる気が失せてしまったというのもありまして・・・。
発車まで近くを散歩して時間を潰します。
ーーー
18:45 雅安発車
休憩所を出たバスは、成都方面の高速インターを目指します。
しかし・・・・
大型車の列が数キロにも渡り続いていて、一向に進む気配がありません。大渋滞・・・。
「こりゃ時間かかるな・・。」
と思った時、運ちゃんの封印されていた「やんちゃ精神」が芽生えてきまして。
なんと分離帯の隙間から対向車線に飛び出し、逆走をはじめるバス!
長蛇の列をガンガン抜かし、一気に渋滞の先頭まで飛び越します。
出た!中国式!
最近ではこんな運転する車も少なくなりましたが、10年ほど前の中国の道路は無法地帯。その当時を彷彿とさせる運転です。
しかし、時代は代わりまして・・今は2019年。
こんな運転が許されるはずもなく、インターの手前にある信号で交通整理していた警官に見つかってしまい・・・・。
運ちゃんが窓を開けて、警官と交渉しています(笑)
「あーあ、やっちゃった」
交渉決裂で、怒鳴りながらバスに乗り込んでくる警官。運ちゃんは警官に引きずり下ろされてしまい、約5分後には「ふてくされた顔で」戻ってきました。
ちょっとかわいそうな気もしましたが・・・。
さあ、気を取り直してラストスパート!成都までの距離は約150キロ。
うわあ、運ちゃん怒ってるよ・・・。
それがはっきり分かるくらいの荒い運転・・。まあ事故らなければ何でもいいですが。
さっきまでの安全運転はどこへやら。追越車線を120キロくらい出して爆走します。(おかげで成都に早く着きましたが)
そのまま成都に向けて一直線。毅然とした勇ましい運転が続きます。
20:12 成都インター着
速い!もう着いたの?というのが感想でした。
21時過ぎの到着を予想していたのですが、途中の爆走もあり、雅安ー成都間150キロの道のりを1時間20分で走破してしまいました。
めちゃくちゃです(笑)
久しぶりに見た都会。
成都は大都会なので、私が住んでいるタイのバンコクや、東京と何ら変わりありません。
立ち並ぶ高層ビルに、輝くネオン。
大自然のチベットから来た他の乗客たちは、車窓を見て何を思い、何を感じているのでしょうか。
ーーー
20:21 新南門バスターミナル到着
甘孜を出てから14時間11分。
長旅を終えて、バスは成都・新南門バスターミナルの横道に停車。
思えば1週間前、私たちはここから東チベットに出発しました。長いようで、あっという間だった8日間。
この日成都の外気温は2℃。
寒いはずですが、ここはずいぶんと生ぬるく感じます。
まとめ
持って行った方がいいもの
1.ティッシュ。ウェットティッシュ
休憩で立ち寄るトイレは紙がありません。また手洗いの水が出ないこともあります。(冬季)なのでティッシュやウェットティッシュは必需品。
景色を見たいのに窓が曇っている時にも使えます。
2.飲み物・お菓子
長時間の乗車なので、喉を潤す飲み物や、小腹が空いた時に食べるお菓子は必携。途中休憩で立ち寄る売店でも買えます。
3.ビニール・コンビニ袋
車内にも置いてありますが、念のため。車酔いした時などに必要。
4.モバイルバッテリー
途中飽きたらスマホで調べ物をしたり、ゲームをしたり・・。バッテリーがすぐに減ります。
5.防犯グッズ
休憩の際、車内にカバンを置いていくのであれば、小さなワイヤ式の南京錠などがあると便利。
6.サンダル
車内で靴を履いたままだと蒸れるので、ゴム製サンダルがあると便利。私は昆明のカルフールで調達しました。
トイレ休憩
おおむね2〜3時間に1回のトイレ休憩があります。有料のところもあるので、事前に1元札を用意しておきましょう。
途中でどうしてもトイレを我慢できなかった時は、運転手に相談すれば止めてもらえます。ただしトイレではなく「道端」ですることになるので女性にはきついと思います。
なので、休憩の時は必ずトイレに行くように!また水分の取り過ぎにも注意!
ーーー
今回は、甘孜から成都まで直通のバスに乗って移動した時の様子をお伝えしました。
ネットで調べたよりも早く着いたり、道が良くなっていたりと、東チベットのインフラ事情はここ数年でかなり変化しているようです。
それでも14時間以上という長い時間、ずっと同じ姿勢で座っていなければなりません。なので風邪など、または腰痛などで体調が優れない人は、途中の康定で1泊することも視野に入れてみてはいかがでしょうか。
東チベットでバス移動する人の参考になれば幸いです。
ーーー
ここで東チベット編は終了です!
次の記事からは「四川省・成都」に滞在した時の情報をお伝えしたいと思います。
お楽しみに!
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