こんにちは!Asia-Jin(あじあ人)です。
タイに移住したい!という連絡が来てから3日後、いきなり日本を飛び出して飛行機に乗ってしまった友人がいました。
なんか7年前の私を見ているようで、半分は微笑ましい気持ちになりましたが、もう半分は「おいおい、ちょっと待てよ」という複雑な気持ちも混じっていました。
旅行とは違って、居住者になりタイで仕事をするということは、楽しいことばかりではないどころか、苦しいことの方が多く、むしろ全てにおいて修行です!
ただ、そんな苦労を乗り越えた人だけが掴める「楽園」も確かにそこに存在するのです。
今回は、タイに移住して、現地で仕事してみたいなと考えている人に、移住する前に知っておくべきポイントについてお話ししたいと思います。
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タイで就労する前に考えておきたいポイント
私は7年前、後輩がタイで仕事をしていたこともあり、また当時付き合いのあった取引先からの依頼もあり、特に深く考えることもなく、いとも簡単に移住を決意してしまったわけです。
その後、友人と一緒に事業を立ち上げて買い付けの仕事をしたり、パタヤで旅行関係の仕事をしたり、小さいレストランのオーナーをやってみたりしながらタイで仕事をするスキルを身につけ、つい最近まではアパレルショップのマネジメントをしていました。
ちょうどその頃、仲の良いタイ人から今の嫁さんを紹介してもらい、そのまま結婚まで至りました。
結果として、今はタイですごく楽しく暮らしていますし、タイ人の嫁さんとも喧嘩しながら仲良くやっているので良かったのですが。。。結果としては、、ね?
今記事を書きながら振り返ると、ずいぶん無茶な冒険をしたな〜とか、一時期は綱渡りだったな〜とか、結構紙一重なところもあります。
途中で何度もトラブルがあり計画が変わってしまった時は、本気で日本への帰国も考えました。財布の中に20バーツしか入っていない日は近所のおばちゃんから食事をおすそ分けしてもらい、移動は全部無料バスなんて時期もありました。
その後帰国せずに復活できたのは、結局は私が日本にいた頃の人脈に助けられたという点が大きいですし、もしそれがなかったらと思うとゾッとします。
反省点として、私が日本を出る前に、移住とはどういうことなのかをきちんと考えなかったことが失敗でした。
では、私がその失敗から学んだことを元に、事前におさえておきたいポイントを今から一つ一つお話ししていきますね。
この世に楽園は存在するのか
結論から言いますと、この世には飛行機で簡単に行ける「楽園」などは存在しません。
もし旅行の時にタイという国が楽園に見えたとしたら、それが「非日常」だからこそ感じるものであり、実際に住むとなるとまた別です。
日本で何かと苦労して社会人として過ごす日常があるから、タイで非日常として過ごせるわけです。
例えばこの部分を考えることなく、日本にある部屋も家財も処分して飛行機でひとっ飛びしてしまったとします。
その場合、タイに来てからいろいろなことで揉まれ、結局は苦労をした人がようやく自分で掴み取ることができるのが「楽園」なのだという事にすぐに気づくことになります。
もっと分かりやすくいきましょう。
ホームとアウェイ
通常の日本人の場合、日本がホーム(日常)で、タイがアウェイ(非日常)になりますよね。
これが日本を飛び出してしまった場合は、タイがホーム(日常)で、日本がアウェイ(非日常)になります。
どういう事かというと、アウェイをホームにして戦わなくてはいけないということです。
非日常の世界を日常にしてしまう「つまらなさ」というのを、いずれどこかで感じることになると思います。この現実に耐えられるかどうかが問題になります。
楽園での暮らしを夢見て、何も考えずにアウェイをホームに変えてしまうと、ある日突然夢から覚めて、こんなはずじゃなかったなんて思う日が来るかもしれません。
私はそんな日本人を、今までに何人もスワンナプーム空港まで見送っています。
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アウェイをホームに変えた戦いの行方
そして、不慣れな環境がホームになるわけなので、最初から「不利な戦い」になります。
私の場合は、タイに到着したその日からぶっつけ本番で起業してしまい、右も左も分からない状態でいきなり戦い始めることになってしまいました。一緒に立ち上げた友人はタイ在住者だったので、言葉の面では問題ありませんでしたが、もっと色々知った上で、きちんと準備してから始めたとしたら、もっと違うやり方があっただろうな、っていう事ばかりです。
例をあげれば、大阪や福岡でタクシー歴10年のベテランドライバーが、今日から東京でナビ無しで道を間違わずスムーズに運転できますか?ということです。
タイで就業する予定がない年金受給者や資産がある人の移住、日本の本社というバックボーンがある駐在員の長期滞在なら話は別ですが、タイで現地採用として就業、または自分で起業するとなったらどうでしょう。
それなりの事前準備と計画がなければ、挫折してしまう可能性だけが増えてしまいますよね。
旅行と移住の違い
旅行者は、タイ王国にとっても、タイ人にとっても「ゲスト」ですね。もし観光客がタイ人にとって多少非常識な行動があっても、笑って許してくれるのはゲストだからです。
例えば日本に来る外国人観光客が、トイレの紙を流さなくても、おしゃべりがうるさくても、とりあえず笑ってやり過ごすのと同じ理屈です。しかし相手が日本で就職している外国人が相手だったら、同僚や仲間はその人に注意しませんか?
このように、タイで就業するとなったらタイ王国にとってその人は「キャスト」になるわけです。しかもタイ人からしたら、日本人の現地採用者はおそらくタイ人の「上司」となることが多いわけで、当然タイ人からの見方や扱いが変わります。
またタイ社会の一員になるわけですから、当然タイ人としてのルールやマナー、常識などを守っていかなければいけません。タイにいる以上、日本の常識はタイでの非常識になることも多々あるわけです。
ただし、日本人としてタイに住み、日本人として就業する以上、日本人としての素養も求められます。ここは日本式とタイ式をうまく使い分けるスキルも要求されます。
観光客としてタイに滞在するのと、居住者のなるのでは意味合いが全く違うということを頭に入れておく必要があります。
会社が求める人材の壁
もし移住後に現地採用として就労する場合、社内での会話は「英語」になることが多いです。(コールセンターなど日本人環境の勤務先の場合は日本語だけでも大丈夫なことが多いです)
なので、面接の際に英語力がどれくらいあるかどうかも試されます。
そして、タイの企業が現地採用者に求める事は「即戦力」です。未経験者歓迎とか、誰でも可能なんていう仕事で給料や福利厚生など条件が良い案件はまずありません。
日本人ということに希少価値があった時代ならともかく、今では日本人の就職希望者が多いので、スキルや経験無しで仕事が見つかったとしても給料が安いとか、労働許可証を取らせてくれないとか、ちょっと難ありな案件が多いのが実情です。
よって製造業なんかは特に、機械のオペレーションから始まり工程が全て分かる現場経験、そしてマネジメント経験、的確な指示を出すための英語力などが求められます。
その後、タイ人スタッフと良い関係を築いていくためには、タイ語も覚えていく必要があります。タイ語は日常生活においても話せたほうが何かと都合が良いですね。
文化の違い
国が違えば、文化も当然異なります。旅行の時はそれが楽しかったり、異文化に触れることで視野が広がったりするのですが、タイに移住して業務を背負った状態で異文化に触れるとなると「発狂」寸前までいくことが多々あると思いますよ(笑)
例えば仕事に対する考え方は日本人と全く異なります。これがいいか悪いかは別として、タイ人の考え方を受け入れながら、会社が要求する「日本式」の考え方にも応えていくという「板挾み」状態になることが日常的に出てくるわけです。
または自分で起業した場合、この相違を受け入れられずにタイ人部下と衝突してしまったら、事業がうまくいくことはまずないでしょう。これが元で、私は5年前に自分のレストランを1つ潰しました(笑)この時の苦い経験が今になってかなり役立っています。
住環境の変化
住む場所が変わるので、まずはこの地に慣れることが絶対的に必要です。
食事はタイ料理がメインになりますので、口に合わない人は結構きつい滞在になると思いますよ!バンコクには日本食レストランも多数ありますが、タイ料理と比べるとどれも高価で、一食のお会計が千円を超えるのは当たり前です。毎日通うとなるとそれなりの出費を覚悟しなくてはならず、現地採用の給料でまかなうのは結構大変だと思います。(最近は安くて美味しい日本食堂も出てきました)
また毎日が真夏日で汗だくになること、交通の便が良くないこと、渋滞がひどく車の排ガスで空気が悪いこと、アパートの窓を開ければバイクの騒音、住民のタイ人とのプライバシー感覚の違い、部屋にバスタブが無いこと、白いシャツが洗濯したら黒くなることなど、数えたらきりが無いほど環境が変化し、人によってはストレスに感じることになります。
私の場合は好奇心旺盛な性格もあり、環境の変化を楽しみながら過ごすことができたので、この辺りは全く問題ありませんでしたが、当時できた現地採用者の友人は毎日とても辛そうで、こんなことなら日本に帰りたいと嘆いていました。
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これらのことを踏まえて移住を決意する
こんなネガティブなことばかり挙げたのにも、ちゃんとした理由があります。
移住した後にしか感じ取れないことが事前に分かれば、きちんと対策を立ててから渡航できるからです。例えばもう少し英語を勉強してから行こうとか、こうなったらこうしようとか考えることで、有利に事を進めることができます。
異国の地で生きていくということは、自分が思ったよりもはるかに大変でした。様々な壁を自分の力で乗り越えなくてはいけません。時には自分自身が壁になってしまうことすらあります。
しかしこれらの事から一つひとつ逃げずに、正面からぶつかってきたからこそ、それが経験として積み重ねられて道が開かれ、今の自分があると考えます。
日本にいたとしたら経験できないような事ばかりで、私の場合は人生観そのものが大きく変わりました。
今では時間や人間関係に「縛られる」という事から解放され、自然体のまま暮らす事が出来るようになりました。日本人はこのような事を「退化」と呼ぶ事もありますが、生き方や価値観は人それぞれです。私はタイ人からヒトとしての生き方を改めて学び、良い部分だけを取り入れた結果が今の自分です。
タイで生きるということは、日本社会ですり減ってしまった「ヒトとしての自分を取り戻す」という事のようにも感じます。
だから私はタイという場所は、苦労をした人がようやく自分で掴み取ることができる「楽園」だと思うわけです。
私はまだまだ毎日が勉強中ですが、ようやく一つ目の「楽園」にはたどり着くことができました。そしてタイには他にも無数の「楽園」が各地に散らばっている気がするのです。最近はそれがどこにあるのかを探すのが楽しみでもあり、これからの目標でもあります!
タイに移住して仕事をしてみたい人は、ぜひ参考にしてみてくださいね!
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