こんにちは!Asia-Jin(あじあ人)です。
タイに仕事で来ている日本人ならみんな頭を悩ませる問題がこれ。
「タイ人は時間にルーズだ」
「約束の時間を守らない」
「部下が納期を守れなくて困っている」
タイ人に限らず、東南アジア全体的に言えることなんですが、日本人と比べるとやっぱり時間にルーズな人が多く感じます。
今回は、タイにおける「時間」ということについてお話ししたいと思います。
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多くのタイ人が時間を守らない理由は?
結論から行きましょう!
1.時間に対する概念が日本人と異なる
2.インフラの未発達
3.タイ人の習慣や性格的なものとタイ社会
1.時間に対する概念が日本人と異なる
日本人が考える時間の概念
日本人なら、ほとんどの人が持ち合わせている感覚。時間に関して日本人は世界的に見ても特に厳しい人種だと思います。
例えば都心部を走る電車。
常に秒刻みで運行されており、1分でも遅延したら「本日は列車が遅れまして、大変ご迷惑をお掛け致しました」というアナウンスが流れますよね。
実際に都心部で会社員として働いていると、通勤時に電車を乗り換えるケースがありますね。この乗り換えにかかる時間は分刻みですので、乗った電車が1分遅れただけで乗り継ぐ予定の電車に乗り遅れてしまうパターンが出てきます。
鉄道会社は、時刻表を公表して運行しているわけですから、利用客はその時刻表をもとに計画を立てます。
何時何分に家を出れば、何分で駅に着く。そうすると何分の電車に乗れて、何時何分にこの駅に着く。この駅では何時何分の何線の快速に乗り換えて、何時何分に何駅に着く。そこから徒歩何分で会社に着くから始業の10分前にはタイムカードを押せる。
都心部に勤める会社員の方の多くは、こんな感じで通勤の計画をしていると思います。
日本社会は「信用」ということを重視してますよね。時間通りに運行するノウハウを持った鉄道というシステムを日本人が信用している、そしてその鉄道の時刻表を基軸にして逆算し、通勤の計画を立てるわけですね。
多くの利用者は、時間通りに電車が来るのが当たり前という考えを持っていますので、もし電車が遅れて、自分のスケジュールが遅れてしまった場合、その責任を鉄道会社に求めたい気持ちになるわけです。
日本人にとって「時間の概念=その人の信用度」ということが言えますね。
また、遅れることが許されない社会というのも影響していると思います。どんな理由や事情があろうと、不可抗力でさえ遅れることを「だらしない」「怠け」「使い物にならない」と捉える傾向がありますよね?
きちんと時間通りに動く、約束を守る、というのが当然の社会なので、かなり無理している人もいるのではないでしょうか。
無理した結果が関西にあるJR西日本福知山線の脱線事故ですよね。
朝のラッシュ時には人の乗降時間が普通より多くかかるのは仕方ないことだと思いますが、鉄道会社はそれを一切許しませんでした。電車を遅延させたのは全て運転手の責任であり、再教育の対象にされるという恐怖心から速度超過をしてしまい、結果脱線事故につながったとうものです。
これは極端な例ですが、日本人はそれくらい「時間」というものにこだわっている人種だというのが伺えますね。
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タイ人が考える時間の概念
一方タイ人が考える時間というものは、あくまでも目安。一言で言えば「時間を重視していない」んですね。
「だいたい何時くらいに、この辺りに行けば問題ない」「だいたいいつ頃にこれだけやっておけば良い」と考える人が多いのです。また個人の都合を優先しても許されてしまう社会なので、その人に何か他にやりたい用事、行きたいところ、会いたい人などができた時、元々の約束は無かったことにされてしまうこともあります。
そもそも昔からタイ社会では「信用」ということが重視されていないので、日本人のように「約束を守ることが「信用」につながり、その信用がその人の価値を高める」という考え方があまりないのです。
時間そのものに対しても、あまりきちんと意識して動いている人は少数派です。
タイ人は、つい最近まで一次産業に携わる人が多く、その人たちの暮らしは日が昇ったら起きて、日が沈んだら寝るというような具合でした。
それが1980年代になり外資企業による投資が盛んになってきて、タイ人達はここでようやく企業文化というものを知ることになります。
しかし、その時期に会社員として働くことになった人たちは大卒のエリート達。タイ全体でみるとごく少数派でした。
タイでは、今でさえ大学は親の稼ぎがある程度は良くないと通えませんし、実際に高卒や中卒もたくさんいます。工場の生産ライン勤務のワーカーや、タクシーの運転手など地方からの出稼ぎ労働者に至っては小卒、または小学校にも通っていなかった人すら大勢います。
現代のタイ社会では、個人店や屋台なども含め、独立して自営業する人も増えていますが、会社員ではないため企業文化というものは知らないほともかなり多いわけです。
タイは階級社会なので、その中でもある程度の階級より上、現在でいう会社員の内勤など中流階級くらいの人たちからは、時間や約束に対する概念が身についている人も増えてきているようです。
多くのタイ人が考える時間に対する概念、約束や契約に対する考え方も、この辺りがミソなのではないかと私は考えます。
2.インフラの未発達と天候
タイのバンコクは、毎日どこに行っても大渋滞していて、タクシーやバスが全然進まないなんて経験をした方もいるのではないでしょうか。また、BTSや地下鉄などの鉄道網もまだまだ未発達で、楽に移動できる範囲は限られています。
このような事情もあり、予定した時間に到着できないということも多々あります。
また、12月から3月ごろまでの乾季を除き、バンコクでは夕方ごろにスコールが降ることがあります。雨季の場合はほぼ毎日これが繰り返され、雨が強く降っている間は事実上移動ができません。
スコールで電車が止まることもよくありますし、電車を降りてから目的地に歩いて移動することもなかなか困難です。
タイで仕事をしたことがない人の中には、「雨が降ることが分かっているのなら、傘をさせばいいじゃないか」と思う人もいると思いますが、これは現実的ではありません。傘が全く役に立たず、すぐに頭の先から靴までビチョビチョになります。また水はけが悪くて、水溜りも多く、とてもじゃないけど歩けません。
だいたいスコールに出くわしたら、喫茶店やショッピングモールなどで雨が止むのを待つというのがタイ式なのです。(スコールはだいたい1時間もあれば弱くなります)
しかしタイで働く日本人の中には、この渋滞や雨を言い訳にした遅刻の常習犯もいるのは残念なことです。
インフラや天候の問題は実際に起こっていることであり、遅刻の原因の一つではありますが、これが原因で遅刻というのは全体の数パーセントに過ぎないでしょう。
だって、雨が降っていない時間の方が多いわけですし、渋滞していない時間帯でも遅刻する人はいるわけですから。
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3.タイ人の習慣や性格的なものとタイ社会
私としては、これが一番多い気がします。
遅刻しても怒られない社会、気にするな(マイペンライ)精神、自分が時間を守っても、相手が遅れてくる社会的なもの。そしてこれらのことを問題としない社会。
これらが融合してしまい、タイ人は時間を守らないということにつながるんです。
また、タイ人の傾向として「簡単に諦める」という習慣があります。どんなにあがいても俺には無理だ、とか、この渋滞なんだからしょうがない、と考え、他の方法や手段を考えることをやめてしまいます。
これはタイ人の人生観にも当てはまるので、簡単に良いとか悪いとか言及するのは避けますが、実際の問題です。
多くの日本人の場合は、最後まで代替手段を考えたり、他の交通手段やルートを考えたりしますよね。その上でダメな場合は潔く謝ろうという結論に至るはずです。
タイ社会の甘い部分も影響しています。
歩行者用の赤信号と一緒で、100人が一斉に信号無視をして渡り始めたとして、自分だけが信号を守り、青になりまで待ちますか?あなたらなどうでしょう。
しかも、全く車が来ていない、轢かれることはない状況だったとしたら。
どういう事かと言うと、タイの会社で出勤が多少遅れたとして、ほとんどお咎めがなければ時間を守る人はいなくなりますよね。また取引先に行くとしても、遅れても「渋滞」のワードを出せば何も言われないとしたら、徐々に気に留めなくなってしまいますよね。
人間は「大多数に合わせる」という傾向がありますので、社会全体がこのような状態だと、個人もそのような考えになってしまいます。
またタイ人の考えの甘さも重要な問題です。「多分大丈夫だろう」とか「きっと間に合うさ」といったような根拠のない自信を持つ人が多いんですね。この辺りもこちらがうまく立ち回らないと納期などで痛い目見ますよ。
そして「仕事上の納期」という概念に関してはタイ人の「個人主義」が影響していると私は考えます。「全体」でチームワークを発揮するのが苦手なんですね。これにより遅れている人を手伝うという感覚もあまりありません。そしてチーム全体の作業が遅れ、納期に間に合わないという事態に発展してしまうわけです。
時間を守るタイ人
タイ人は時間を守らない人ばかりではありません。私の知り合いには時間に厳しいタイ人も存在します。ではどんなタイ人がそれに当たるのか見ていきましょう。
1.高階級のタイ人
早いですね!なんとも極端なんです。ゴルフの待ち合わせだと、8時にゴルフ場で待ち合わせしていたのに、6時半頃もうついていて、電話がかかってきます。
「どこー?もう着く?」ですって。
渋滞を見越して、予定よりも早く家を出て、ゴルフ場で朝食を食べようということですね。
また、仕事で出かける時などに空港に行く時も同じで、出発の3時間前くらいに着いていたりします。渋滞で遅れるのは嫌だし、早く入ってラウンジでゆっくりしたいからだと言っていました。
あとは接待側になる時も早いですね。時間よりも1時間前に来て待っていたりします。
2.中階級のタイ人
会社員のホワイトカラーなどがこれに当たりますね。
この辺りは人によって違いますが、あまり遅刻はせず早めに行動をとる人が多いです。ただし単純に待ち合わせには遅れなかったとしても、管理能力があるとは限りません。考えが甘い人も多くいますので、自分は時間を守れるけど、チーム全体の時間「納期」は守れないといったことが出てきます。
3.時間に厳しい習慣があるタイ人
航空関係者や医療関係者など、時間でカチカチ動く習慣が根付いている人はいます。また上に挙げたような高階級者の子息なども、これらの習慣は染みついているのできちんとしている人が多いです。(時と場合によります。「守ることができる」ということと、「必ず守る」ということは別物です)
日本人がタイ社会に甘える怖さ
これが一番怖いんです。
本来は自分の信用を積み上げるためのもの、そして時間を割いてくれる相手に対しての礼儀、このような意味があり日本人は時間を守るということを重視しているわけですが、タイ社会のスタイルだとその意味すら入れ替わってしまうんです。
これじゃ「怒られないために時間を守る、怒られないから遅刻しても良い」
と、まるで中学生が先生に怒られないために「いい子」にしているとか、先生に怒られるから金髪にしないとか、そういうレベルと一緒だということです。
日本人がタイで仕事をして、よく陥るパターンがこれです。
いわゆる「タイ化する」とか「タイ人化する」ってヤツですね。
私ですか?。。。今のところはたぶん大丈夫だと思います(笑)
こうなってしまうと、もはや日本人として信頼されませんし、いい仕事ができるとも思えません。
自分が時間を守るようにして、そしてタイ人にも時間を守らせるように誘導するのが日本人の仕事です。
では、どうやって時間を守るか、守らせるかという対処法を考えてみました。
時間を守るための対処法
ポイントは「時間の余裕」「ゆとり」を持つこと、カチカチにスケジュールを詰めないことです。タイでは思い通りに進めない不可抗力的なことが多々ありますので、余裕は絶対的に必要です。
自分が時間を守る方法
単純に逆算できてますか?そして把握できてますか?
自分が行く目的地までの距離と行き方、方法。そこまでの通常時の所要時間、渋滞時の所要時間、そして、トラブルがあった時の代替手段。
私が仕事で出かける時は、渋滞時の所用時間プラス30分くらいの余裕を持って出発します。また、車移動が多いので、大渋滞時や通行止めなどの代替手段も考えながら動いています。
例えば、後どれくらい渋滞が進まなければ、どこの駐車場に入れて、そこからBTSに乗り換えようとか、バイクタクシーなら何分で行けるとか、そういうことです。
場合によっては、知り合いのバイクタクシーに目的地まで伴走してもらうことさえあります。超重要な業務の場合に限りますが。
タイ人に時間を守らせる方法
私の場合、以下のような方法でタイ人に教えています。
これにはパターンが2つあります。
一つは、自分の部下のタイ人に時間を守らせる方法。
もう一つは、取引先やそれ以外のタイ人に時間を守らせる方法。
1.自分の部下の場合
ステップアップが必要です。
いきなり「時間の大切さ」を説明しても即効性は全くありません。今まで何十年も時間を気にせず暮らしてきた人に理解させることは時間がかかります。
起床時間から管理
まずは、集合時間ではなく、起床時間から伝えます。
例えば10時が集合時間の場合、「明日は朝7時にアラームをセットしておいてね」と言い、その人の携帯のアラームを私がセットしてしまいます。
集合時間の2段階設定
そのあとの流れを丁寧に紙に書いてあげて、「9時40分ごろに〇〇で俺と待ち合わせな〜」と伝えます。先方との待ち合わせ時間は10時なので、本当の予定より20分早く部下と待ち合わせした形になります。
時間を守れたらごほうび付き
到着後に時間通りだったら、褒めながらコンビニで好きな飲み物やお菓子でも買ってあげます。まるで子供をしつけるような感覚ですが、これは実話です!
何度かこれを繰り返しながら、ゆっくりと時間をかけて習慣化していき「時間を守ることの大切さ」を教えていきます。相手にも時間を守ることのメリットを感じさせるのがポイントです。
最初は飲み物など、モノで釣ってもいいと思いますよ。賛否両論はあるにせよ、要は「時間通りに来たことで褒められる」という、今までなかった感覚を覚えてもらうのが最初のステップなんですから。
これらのステップは単純に待ち合わせだけでなく、納期を守らせるとか、決まりを守らせるとかにも応用できます。多くのタイ人は「逆算」というやり方を知らない、または分かっていても自分で考えて動く習慣がないのです。
最初のうちは日本人が代わりに逆算してあげて、慣れてきたら自分で考えさせるというのが良いかと。
2.取引先やそれ以外のタイ人の場合
これは管理できない分難しいんですが、方法はあります。
「自分はこの時間しか空いていない、次のスケジュールは何時にどこに行かなくてはならないので、確実にこの時間に会えるようにして欲しい」と頼むことです。
ポイントは相手を尊重して丁寧に頼むことです。時間に遅れる方が悪いという感覚はいったん捨ててくださいね。
もちろん相手の立場によっては失礼にあたるので、言わない方が良い場合もあります。
また興味があることや人に対しては積極的に融通するのがタイ人の習慣なので、まずは自分に興味を持ってもらうことも有効ですね。
この人と話すのが楽しいと思ってもらえれば、必然的に時間を守ってもらえる率も上がります。
これは日本社会でも同じことが言えますね。日本人同士であっても、嫌われてしまったら居留守を使われることもあるでしょう。
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まとめ
一番のポイントは、日本とタイでは習慣や文化が違うから、現地で日本の価値観はほぼ通らないと考えて動くことだと思います。
タイに限らず他の国でも同じで、その国に根付いた文化から現地の人々の習慣や性格の傾向が生まれるわけです。
その中で日本の価値観を理解してもらうための第一歩は「日本の文化や習慣の方が優秀だ」と言った考えを一旦捨てることだと思います。確かに「日本の文化や習慣は世界的に見ても優秀」というのは私も思いますが、文化に優劣つけるべきことではないと思うんです。
日本と比較して優劣つけた時点で、その国の文化や習慣は劣っていると言っているようなもんで、相手は口には出しませんが敏感に感じ取りますよ。
「ビジネスにおいて時間に厳しい」というのは良いことです。しかし「人生において時間に縛られない」という点で考えると、逆に見て日本人が手に入れたくても手に入れられない習慣や価値観なのではないでしょうか。
なので価値観に対して優劣はつけるべきではないのです。
それなら、仕事の上で時間を守るメリットを分かりやすく示してあげる方が、その後の人間関係はうまくいきますよね?
今回は、タイ人の時間に対する概念と、私が仕事で実践している対処法についてお話ししました。
時間はかかりますが、根気よく繰り返し示していくことで習慣化され、いつの日か時間を守るタイ人を育てることができます。
タイで仕事をしている人、出張に来る予定の人など、少しでも参考になれば幸いです!
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