バンコクからおよそ900キロ。
タイの北外れにあるチェンライ県には、山に囲まれた秘境の町や村がいくつも存在します。
その中の一つ「ドイ・メーサロン」は、地上1000mほどの山あいにある小じんまりした町で、主に華人と少数民族が暮らしています。
私は去年、嫁さんと一緒にこのメーサロンを訪れ、1日でこの町を気に入ってしまいまして・・。
今年もバンコクからはるばる来てしまいました!
すでにタイ各地を周り尽くした、旅の中〜上級者や、タイ在住者が小旅行する時ななど、特におすすめできる場所です!
今回の記事は・・
メーサロンとは一体どんな所なのか・・?
なぜメーサロンはあまり有名ではないのか?
メーサロンで楽しめる人は?、楽しめない人は?
についてお話ししたいと思います。
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■目次
チェンライ県の「ドイ・メーサロン」ってどんな所?
まずは、ドイ・メーサロンって一体どんな所なの?ということについて、簡潔にまとめましたのでご覧ください。
地名に付く「ドイ(ดอย)とは、タイ北部の方言で「山」という意味です。なので「ドイ・メーサロン」を直訳すると「メーサロン山」といった意味になります。
一般的には、メーサロンがあるエリア全体を呼ぶときに「ドイ・メーサロン」と呼ばれることが多いです。メーサロン町単体を呼ぶときは、ドイをつけずに「メーサロン(メーサローン)」と呼びます。
1.山あいの小さな町
チェンライ県北西部にそびえる山あい、標高約1000mの所にある小さな町です。
2.住人は「華人」と「少数民族」
第二次大戦後、中国の内戦で共産党率いる人民解放軍に敗れた、国民党軍の兵士の多くは台湾に移り住みました。しかし、雲南省あたりにいた兵士たちは大陸から逃げることができず、ビルマ(現ミャンマー)、そしてタイ北部と南下し、メーサロン付近の山岳地帯を拠点としながら、反撃の機会を伺っていたそうです。
その後残留兵士達は、1972年にタイ国軍の管理下に置かれ、付近の山岳武装ゲリラ掃討作戦に参加。
のち正式にタイ国籍を与えられ、現在もその末裔が華人としてメーサロンで平和に暮らしています。
また、付近はタイ・ミャンマー・ラオスにまたがる山岳少数民族が暮らすエリアでもあり、山の斜面には少数民族の家が多数建てられ、一つ一つの集落として形成されています。
3.中華テイストの街並み
住人のほとんどが華人なので、街並みはまるで「古き良き中国の村」のようなテイストです。そこら中に漢字表記の看板が出ています。
夕方になると、商店や旅館の入り口には赤い提灯が灯され、とても良い雰囲気。
このような街並みは、タイの他の場所ではなかなか見られません!
4.雲海が見られる
標高が高いため、山のふもとを見下ろす形になります。
その山の谷間に雲がかかり、まるで仙人が住んでいるような神秘的な景色を見ることができます。
5.お茶の名産地
台湾で売られる高級茶の一部は「メーサロン産」と言われるほど、ここはお茶の生産が盛んです。
台湾企業のプラントも数多くあり、以前台湾から持ち込まれた茶葉を元に、台湾高山茶と同じ製法で生産しているそうです。
町内には卸売所や直売店が多数あり、高級ブランド茶を、産直価格で1パックから購入することができます。
購入目的の場合は、全種類の試飲も無料です。
6.タイ北部の避暑地
1000mを越える山の中にあるので、一年中涼しい気候が特徴です。タイ全域で一番暑いシーズンである4月の日中でも、だいたい28℃以下、日没後は24℃前後ととても過ごしやすいです。
また、11月〜2月の乾季は東南アジアとは思えないほど気温が下がり、一番寒い時の夜間は2〜3℃前後まで下がることもあります。さらに、少数民族が暮らすミャンマーの国境付近まで北上すると、氷点下まで下がることもあるそうです。
このため、一年中温暖なタイにいながら、乾季は冬体験が手軽にできるとして、最近では都市部に住むタイ人にも人気の旅行先になりつつあるようです。
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メーサロンって、日本人にはあまり知られていない?
日本からの一般旅行者にはあまり有名な場所ではありません。しかし欧米からのバックパッカーなどには以前から人気のある場所です。
最近では長期旅行の日本人や、タイ在住日本人には徐々に注目されてきているようで、旅行雑誌の取材や、ウェブメディアなどで取り上げられています。
しかし、日本からの短期旅行者には、今だにほとんど知られていません。
なぜでしょう。
理由は簡単!
メーサロンは交通アクセスの悪い「秘境」だからです。
そもそもですが、メーサロンがある「チェンライ県」は、少なくても1週間以上滞在してこそ、初めて面白さがわかるようなエリアでもあります。景色をみながら、ゆったりと流れる「田舎時間」を楽しむのが、ここでの過ごし方。
それに、どこに行くにも交通アクセスが不便ですし、見どころをきっちり回ろうと思うとそれなりの時間が必要なのです。
また、今回紹介する「メーサロン」はチェンライの市街地から、険しい山をいくつも越えて、2時間ほどかけてようやくたどり着く秘境になります。
日本の社会人の場合、欧米人のように1〜2ヶ月のバケーション休暇を毎年もらうことなどは不可能なので、どうしても「5日ほどの休暇を利用して、移動はなるべく控え目に、1〜2都市を重点的に観光する」といったスタイルになってきます。
この時点で、多くの日本人旅行者が求める「短期で効率よく回る」というスタイルから外れてしまいます。
つまり「メーサロンに行ったことがある日本人が少ない=需要が少ない」ということは、「ネット上やガイドブックなどに日本語の情報が少ない」ということになります。
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メーサロンで楽しめる人、楽しめない人
メーサロンはこのような場所なので、人を選ぶ町でも有ります。
楽しめるタイプの人
1.「何もしない」を楽しめる人
例えば、早起きして雲海を見下ろしながら読書をするとか、カフェでまったりと過ごすとか。私は、オープンテラスのカフェで記事を書いたり、構成を練ったりして、あっという間に夕方になってしまいました。
ちなみに、部屋のバルコニーから山のふもとを見下ろせるホテルや、絶景カフェなどもあります。
2.町歩き、散策が好きな人
タイなのに、町の雰囲気は明らかにタイではありません。中国や台湾の30年前の田舎町ような雰囲気です。
このような「雰囲気」を楽しめるタイプの人には向いていると思います。
また、さらに山頂まで登ると「天空の寺院」がそびえていて、これもおすすめスポットの一つです。(車やバイクで登れます)
3.文化や歴史が好きな人
山岳少数民族が住む村も近くにあり、早朝に山で採れた山菜やキノコなどを売りに来ます。「見せ物」ではない、本物の少数民族の日常と出会えます。
また、町のいたるところに中華料理店があり、雲南風の中華や、台湾風の中華、あるいはミックスを提供しています。私の場合は、これらを食べ歩くのもけっこう楽しめます。
4.運転が好きな人
この界隈では、レンタカーやレンタルバイクが威力を発揮します。というか、この町では「足」がないと何も始まらないのです・・。
日本では経験できないような「超急勾配」の険しい山道を登ったり、急カーブが連続する山道を抜けたりと、ドライブが楽しいエリアでもあります。
レンタルバイクは、ゲストハウスやホテルで、1日200〜300B(千円程度)で借りられます。本来タイでバイクを運転するには、日本の中型自動二輪免許証(の国際免許証)が必要なのですが、メーサロン域内ではこれが免除(黙認)されているので、免許がなくても運転可能です。(ただし自己責任)
レンタカーなら、チェンライやチェンマイの空港で借りて、そのまま自分で運転してメーサロンまで来るのがベスト。
私は、メーサロンに着く手前にある、アップダウンが激しいタイトな区間に来るといつもスイッチが入ってしまいます。嫁さんももう慣れたのか、呆れたのか、タイヤがキュッキュ泣いても何も言いません・・。
ちなみに交通量はほとんど無く、1時間ですれ違う車は数える程度。
5.お茶好きな人
お茶の名産地だけあって、町のいたるところに「お茶屋さん」や「直売所」があります。
無料で試飲させてくれるので、実際に飲んでから決めることができます。
また、有料ですが普通の喫茶店のように注文して、お茶を飲みながらお店でゆっくり過ごすこともできます。(安い!ポット1杯で30〜100B程度、茶碗5杯分くらい)
6.タイの観光地をすでに回り尽くした人
こんな町なので、今までとは違った「新しいタイ」を発見できるかも!
楽しめないタイプの人
1.刺激が欲しい人
こればかりは、メーサロンどころかタイ北部にはほとんどありません。刺激よりも、安らぎや安寧という言葉が似合うエリアです。
2.夜遊びをしたい人
メーサロンの夜は早く、街全体が夜8時ごろには寝静まります。また、外国人を相手にするバーなどはありません。もちろん女の子が接客してくれるバーもありません(笑)
飲みたい人は、セブンや売店で買って、ホテルで飲むことになります。
パタヤとかでの夜遊びが大好きな人は、きっと1日で飽きるのでは・・?
3.虫が極端に苦手な人
山あいの村なので、虫が結構多いです。ホテルで夜窓を開けると、明かりにつられて虫が大量に飛び込んで来ますので注意!
4.飽きっぽい人
遊ぶところは、本当に何もない町です。物は試しで一度訪れてみたいという人は、チェンライから日帰りツアーもあるので、それに参加するのが良いと思います。
時間はあまりないけど、行ってみたい人は?
チェンライの旅行会社で日帰りツアーに申し込むことができます。ただし、チェンライに到着した翌日の朝出発となるので、チェンライに1泊する必要が出てしまいます。
チェンライに到着したその日から動きたい人は、チェンライの空港でレンタカーを借りるか、空港でタクシーをチャーターして、日帰りか1泊で駆け足回りをすることは可能です。
「受け身」旅行だとあまり楽しくない町なので、自分がメーサロンで「何をしたいのか」を明確に決めてから事前計画を立てる方が良いでしょう。
まとめ
タイ北部・チェンライ県の山あいにある小さな町「メーサロン」。
ゆっくりと過ごすのが好きな人にとっておすすめな町です。
高地にあるので、とても涼しく、夜間は長袖が必要なくらい。
町の住人のほとんどは華人なので、中華テイストの街並み。中華料理は雲南風か台湾風の味付け。
お茶の名産地なので、いたるところでお茶を楽しめます。
少数民族の村も近く、見せ物ではない本物の少数民族に会えます!
アクセスがよくない分、ちょっと中〜上級者向けのエリアではありますが、今までにタイをほとんど回り尽くしてしまった人や、タイ在住者なら特に楽しめる町かと思います。
きっと私みたいに「こんなタイもあるんだ〜!」と、新たな発見をすることになるでしょう。
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