中国四川省にある康定(チベット名・ダルツェンド)は「東チベット最初の街」ということもあり、多くの旅行者やバックパッカーが立ち寄ることになる街です。
ネット上では「チベット色が薄い」「他の中国の街と変わらない」「つまらない」「バスの乗り継ぎだけで十分」なんて意見が多数を占めていますが、私が実際に康定を訪れてみたところ、それとは少し違った感じを受けました。
今回の記事では、康定の夜景、街歩きスポットなどを写真つきで、私が滞在中に感じたことも添えてお伝えしたいと思います。
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■目次
夜の街歩きは川沿いからスタート
成都から朝9時のバスで康定入りした私たち。
事前に予約しておいたホテルに無事にチェックイン、そして荷物を片付け終わった時はすでに夕方。
前回の記事はこちら!
バルコニーから外を見ると、街にはオレンジ色の明かりが灯り始めていました。
そういえば、この日はバス移動だったので、朝からほとんど食べていないことを思い出した私たち。
口にしたものは、パーキングエリアでつまんだチキンだけ。
いい加減お腹がすいてきたのもあり、今夜のごちそう探しも兼ねて、カメラをぶら下げて街に繰り出してみることにしました。
地図を見ると、康定は川に沿って、街の中心地が斜めに広がる作りになっています。
この日は、ホテルを出発してから徒歩15分圏内を散策しようと決めていました。
まずは街の中心地のスタート地点・川沿いの「西大街」にある橋のたもとを目指します。
これです!
ついに来ました!
旅行の計画中、ネットで見たこの景色。
康定の街には結構流れの速い川が流れていまして、その両サイドにビルが立ち並ぶという光景。
私は「川のある景色」が好きなのもあり、誰かが撮った康定の写真をネット上で見て、「あっ、ここ行きたい!」と瞬時に閃いたのです。
流れの速い川と、都会の組み合わせって珍しいじゃないですか。
しかも、清流とまではいかないまでも、結構きれいな透き通った水。
私が住んでいるタイの川は、土の影響で大体が茶色く濁っているので、これは新鮮!
横にある山には、チベット仏教の神様が掘られています!
三脚は重いので、橋の欄干の平面にカメラを置き、シャッタースピードを落として撮影。すると水の流れが滑らかに写り、流れの速さが表現できます。
ああ、これだけでも結構満足!
さあ、次に進みましょう!
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康定の夜歩き中に、私が思ったこと・感じたこと
東チベット最大の都市、東チベットエリアの政治・経済の中枢というだけのことはあり、街の中心部は結構栄えています。
日本で言えば「県庁所在地」のような立ち位置の康定。
うーん、都会。
ビルが隙間なく立ち並び、飲食店や喫茶店、ファーストフード、バー、カラオケなどの遊び場まで、一通り揃っていますね。
確かにそのほとんどは中国資本によって作られたもの。
看板もほぼ全て中国語で書かれていて、その脇に小さくチベット文字が書かれている具合。
なるほど、これは確かに「中国人が作った中国人のための街」とも言えますね。
「チベット」を楽しみに来た日本人のバックパッカーだと、「つまらない」と感じるのは無理もないかもしれません。
(彼らは「目が肥えている」というのもあると思います。世界中の素晴らしい風景を見ながら、現地人と交流して旅を続けているわけですから、私のような一般旅行者よりも求めるモノが高レベルで当然ですね。)
が・・。
私の場合、それとは別のものを感じました。
どの国にも、どのエリアにも「都会」は存在する訳でして。
例えば日本で「札幌」など地方の大都市。
北海道の大まかな見所と言えば「草原」「流氷」などの自然系がイメージされますが、都会である札幌だけを目的地として集まる観光客も大勢いるわけです。
札幌は札幌で見所がたくさんありますし、ちょっと足を伸ばせば「定山渓温泉」や「小樽」などにも行きやすい。
東チベットに当てはめると、古くからあるチベットスタイルの集落や暮らし、大自然を見たいのであれば、さらに奥地の「甘孜」方面に足を伸ばしたら目的の風景に出会えますし、チャーター車を使えば康定付近でもチベット風の草原に案内してもらえます。
康定はあくまでも都会。チベットテイストが少し入った都会。近くに温泉もあり、本格的なチベット寺院もある。
なので、その人が旅に求めるモノによって感じ方は違いますが、康定は康定で十分楽しい街だと私は感じました。
また、その場所に関する前情報があれば、それなりに楽しめる訳でして、私としては「康定」の見所をお伝えして、少しでも「康定も面白そうだな」と感じてくれる日本人が増えるように・・と思っています。
むしろ「成都から一番気軽に行ける東チベット」なので「時間があまりないし、ガチの田舎はちょっと・・でもチベットの雰囲気を感じたい」というような「一般的な旅行者」にはおすすめできると思います。
(私は結構気に入りまして。居心地が良いので、成都と合わせてまた行きたい!)
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康定の広場では地元民による民族ダンスが
チベット地方では、夜7時前後から広場に集まり「民族ダンス」を踊る習慣があるようです。
2年前に訪れた雲南省の「シャングリラ」四方街でも同じく、チベットの音楽が流れてダンスを披露してくれます。(商業的な「ショー」ではないので、地元のおばちゃん達が輪になってクルクル回るだけですが・・)
スピーカーからは哀愁をそそるチベット音楽が流れ、「ああ、遠くまで来たもんだ」と旅情を誘います。
必ず毎日やる訳ではないようですが、天気が良い日は大抵夜の7時〜8時前くらいにスタートするとの事。
この翌日は雪が降ったため、誰も来ていませんでした。
こちらは「康巴文化芸術中心」という施設前にある広場。
敷地が広いので、かなり大人数のダンス。
山肌にはLEDのイルミネーションが光っています。これはこれで良し!
都会ですから。
反対側の山にもイルミネーション!
地下には商店街があり、朝から夕方5時ごろまで営業中。
地元民向けなので、お土産などはありませんが、手袋や帽子、靴下などを安く購入できます。
裏路地に小さい店が立ち並ぶグルメ横丁
この建物の奥に行くと、チベット装飾が施された通路があります。
ベンチやテーブルがあり、地元の人のちょっとした憩いの場になっているのが分かります。
この裏にある路地を入って行くと、地元の人が集う「グルメ横丁」があります。
主に「漢族(中国人)」向けの店なので、四川料理が多いですが、どの店も結構な混み具合。
価格も手頃で、観光客向けではないことが分かります。
チベット人は自宅で自炊することが多いようで、地元のチベット人が食べるようなチベット料理店はほとんどないとの事でした。(観光客向けの高いお店は何軒かあります。)
提灯がぶら下がり、雰囲気があります。(ただし中国風)
柱などにはチベットスタイルの装飾があり綺麗ですね。
・・・。
ん?
嫁「ご飯はまだ〜?」
あっ、忘れてた!!
街歩きと撮影に夢中になって、すっかりご飯のことを忘れていました!!
ホテルを出発したのが夜7時ごろ。時計を見ると夜8時を過ぎていました。
まさに1時間もぷらぷら歩き回っていたんですね。
康定・水井子と背水姑娘像裏に火鍋店を発見!
さて、夕食がまだだった・・と思い出した私。
急にお腹がすいてきました・・・。
あれですね。怪我をした瞬間は痛みを感じませんが、傷口を見た瞬間に痛みを感じる・・あれと同じですね!
本当は、せっかくなので「チベット料理」を食べたかったのですが、チベット料理の庶民的な店はほとんどないという事を聞きまして・・。
それなら何を食べようかな・・・
そんな事を考えながら、ライトアップされた橋を渡り、通りの反対側に出ました。
そこにあったものは「水井子」という神様と、「背水姑娘」という像。
周囲にはベンチが置かれていて、地元民が休憩できるようになっています。
何だろう・・日本語での説明が無かったので、結局何を記念した像なのかは分かりませんでした。
ギラギラ電飾なのが、いかにも中国風ですが・・。
・・・とその時。
背水姑娘像の後ろに「火鍋」の2文字を発見!!
吸い込まれるように、ふらふらと「火鍋」の文字に近づきます。
水井子の神様の前まで来ました。
火鍋まであと10m!
水井子のすぐ後ろにあるのが、今回夕飯場所に選んだ「大龍火鍋」。
四川省に何店舗かあるチェーン店の火鍋屋さんで、それなりに美味しいとの評判だということは聞いていました。
店の前は、すでに「火鍋」のいい香りが漂っています・・・。
嫁さんの意見も聞かず、勝手に店に突入する私。
(結果、2人とも大満足でした)
まとめ
日本人バックパッカーからは「つまらない」と酷評を受けている康定の街。
実際に街歩きしてみた結果、確かに「中国人に開発された中国の街」感は否めませんが、見方を変えれば十分に楽しめる街でした!
その人が旅に求めているモノによって、感じ方はもちろん違いますが、私としてはたった「1晩」で康定の町が好きになりました。
ほどよく都会で便利、成都から気軽に行ける、高山病の症状が出にくい(人により)、チベット風情が漂う都会・・・
このような理由で、「日程的に短期旅行しかできない」「チベットの雰囲気だけでもいい」という「シティー派」の人であればおすすめできる町だと思います。
他にも、近くに温泉があったり、荘厳なチベット寺院があったりと見所があるので、今回3泊の滞在でしたが「もう1日欲しかった!」と思えるほどです。
またライトアップされる「夜歩き」もけっこうおすすめです。
街には公安や警察もかなり多く、特に危ないと思った場所は無く、治安は比較的良好だと感じました。(もちろん暗い路地裏などはリスクがありますし、暴動などが起こる可能性もあります。)
この先「本当」の東チベットに向かうためには、4000m級の峠をいくつも越えてバスで長時間移動しなくてはいけません。そして現地は3500m前後の高地にあります。
なので高山病予防のためにも、ここ標高2400mの康定で3日くらい体を慣らしてから向かうのが得策とも言えます。
東チベット・康定を訪れる人、興味がある人の参考になれば幸いです。
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