タイの北部には、ラオス・ミャンマーと3国の国境線が交わる地点が存在します。
この地点は、北はチベットを源流とするメコン川に接する「ゴールデントライアングル(黄金の三角地帯)」と呼ばれていて、現在ではガイドブックにも載るほどの観光スポットとなっています。
3ヵ国の国境線が交わる?いったいどんな場所なのでしょう。
北タイ〜ラオス周遊の旅で、実際に行ってきましたのでレポートしたいと思います。
今回の記事では、
ゴールデントライアングルってどんなところ?見どころは?
ゴールデントライアングルって楽しいところ?
ゴールデントライアングルは麻薬栽培の地ってネットで見たけど本当?
治安は悪くないの?
観光に必要な所要時間の目安は?
ゴールデントライアングルへの行き方は?
といった内容についてお話ししたいと思います。
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■目次
チェンライ県のゴールデントライアングルはどんなところ?
日本で育った私にはあまり馴染みがなかった「国境」というものに興味が出たのは、タイに移住してからのことでした。
もともとは、同じ民族が行き来しながら暮らしていた地域に、ある日突然「国家」という大きな力で線引きされた境界線。それが大陸にある国の国境線です。
今回の話に出てくる「タイとラオス」「タイとミャンマー」もその一つでして、人々が暮らす文化や顔つきは似ているのに、話す言葉や文字、建物や家、車、着ている服、電力や水道事情に至るまでが、国境線を一つ越えるだけで全く事情が違ってくるのです。
現代になって、隣国どうしの経済状況の差が顕著に現れた場所も世界中に数多くあります。
ここゴールデントライアングルは、タイ・ラオス・ミャンマーの3国が国境線を接していて、すぐ手に届きそうなところに隣国がある!という地点。
左の対岸にはミャンマーの空があり、右の対岸にはラオスの風が吹きます。
そのあたりの文化や歴史、国境線の空気感を肌で感じ取れる場所。というのがここゴールデントライアングル(黄金の三角地帯)になります。
ゴールデントライアングルの見どころ・できること5選
はじめに結論から言います!あくまでも私の主観です。多くの人に読んでいただいている記事なので、一応言葉を柔らかくしますね。
「あまり面白いスポットではない!」
観光地はどんな場所でも「人によって」合う合わないという部分があるじゃないですか。
ここゴールデントライアングルは、それがかなり強い。つまりピンポイントで人を選ぶ観光地です。
理由の1つとしては、町自体が「商業化」「観光地化」されてしまっていることが挙げられます。
なので、ゆっくりとメコン川を眺めながら過ごしたいのであれば、80キロ離れたチェンコーンの町をお勧めします。チェンコーンはそこまで商業化されていない、古き良きメコン川の町なので、雰囲気は抜群です。
と言うわけで、上に書いたように、この地の歴史や空気感に興味がある人なら楽しめると思いますが、そうでない人にとっては・・
「おお〜これが噂のゴールデントライアングルか・・」
そして写真を撮って終わり。
実際に現地で様子を見ていると、このような観光客も多いようです。
チェンライからも遠く、苦労してやっと到着した割には・・・という感じですね。
それでも、ちゃんと見どころはありますので、1つ1つ見ていきましょう!
1.展望デッキで記念撮影
ここに来た人が必ずすることといえば、これ。
記念撮影!
メコン川沿いには整備された遊歩道があります。この中ほどには、ここがゴールデントライアングルだ!ということが書かれた碑石が建てられています。
こんな感じの碑石というか、門ですね。
こちらで写真を撮るのが定番のコース。
こんな感じで、皆さん思い思いのポーズをとり、記念撮影にいそしんでいます。
2.ボートツアーでラオス領に上陸
ゴールデントライアングルには、2種類のボートがメコン川を走っています。
1つは、タイ人・ミャンマー人・ラオス人専用の国際線。
こちらはタイ人とミャンマー人専用の出入国ブースです。ここでは、空港と同じように出入国審査が行われています。
ただし、第三国人(日本人や韓国人などの外国人)は立ち入りできません。
そしてもう1つのボートは、誰もが利用できる観光ツアー用の船です。
メコン川を左手に、川沿いを進んでいくと、このようなブースがたくさんあります。
こちらでツアーに申し込むと、船でメコン川を渡り、対岸のラオスに一時入国できるというわけです。ツアーでは、ぐるっとメコン川のミャンマー領付近を周回してからラオスに向かいます。ラオス領滞在時間も含めて約1時間30分のショートトリップが可能です。
対岸のラオスにある船着場付近は、ラオスやミャンマー製品をショピングできる市場として整備されています。
今回は、実際にツアーに参加してラオス領に渡ってみたので、詳しくは後日まとめて記事にしますね。
3.ショッピング
対岸のラオスだけではなく、タイ側の遊歩道にもお土産物などが並ぶ露店が出ており、ショッピングができます。
大通り沿い、川沿いと多数の店が並んでいます。
ただ、並んでいる商品は正直「・・・」となるものばかりですね。
こういうことです。
ここに並んでいる商品は、バンコクのスクンビットやナナの露店、パッポン、MBKなどでよく見かける衣類やバッグ、置物などが大半です。これらの品々は「タイや東南アジア初心者」の人からしたら、日本では見かけない珍しいものばかり。なので見て歩くだけでも面白いと思います。私もタイに来たばかりの頃はそうでした。
しかし、ここは旅慣れた人が集まるチェンライ県。しかも非常にマイナーでマニアックなスポット「ゴールデントライアングル」に行くような人は、きっとタイのベテランさんが多いのでは・・と思います。
つまるところ「今更こんなもの見てもなあ・・」「もう見飽きたよ」となる可能性大!
4.仏像見学
遊歩道からツアーボート発着場にかけての区画には、船のモニュメントに乗った大きな大仏が、メコン川の安全を見守っています。
黄金に輝く大仏さま。
こちらも人気の記念撮影スポットになっています。
大仏さまの真ん前まで入ることができ、その下は展望デッキになっています。
5.遊歩道で散歩したり、のんびり川を眺める
茶色い川の流れる雄大な景色は「お見事」です。
はるか遠くチベットから始まり、総延長4200キロにも及ぶ、メコン川の悠久の流れに思いを馳せながらゆっくり過ごすのもいいかもしれません。
確かに、こんなダイナミックさは日本では味わえませんね。
私は雨季にあたる9月に訪れまして、ゴールデントライアングルに着いた時は雨が降ったり止んだりしていました。
晴れていれば夕方に「赤く染まる空」が見られるのですが、見ての通り分厚い雲。
ちなみにタイ領は西になるので、こちら側からは「メコン川に沈む夕日」は見られません。朝日なら見られますが・・。
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かつては麻薬の名産地だったゴールデントライアングル
すでにネット情報が多く出ていますが、このゴールデントライアングルは、かつては麻薬(ケシ栽培)の産地だったのです。
3国とも、首都(中央政府)がある都市は、はるか彼方。
どの国も政府の手が行き届かず、以前は無法地帯。各民族や部族・軍閥などが群雄割拠する、非常に治安の悪いエリアでした。
話は第二次大戦直後にさかのぼります。
中国の国民党と共産党の内戦が勃発し、敗れた国民党軍の兵士たちは、蒋介石とともに現在の台湾島に逃げこみます。しかし、四川省や雲南省付近の内陸部で戦っていた国民党の兵士たちは、海を越えて逃げることができずに陸路で敗走を続けます。
その結果流れ着いた先がビルマ(現ミャンマー)のシャン州。ちょうどゴールデントライアングルがある付近のミャンマー領ですね。
国民党兵士たちは、当時ビルマ政府の管理が行き届いていなかった現地を占領し、中国大陸奪還のための基地を作ります。
途中で資金難に陥った彼らは、麻薬(ケシ)栽培をして、当面の軍事資金を捻出するようになります。
その後、国民党兵士と、現地人女性の間に一人の男の子が生まれました。それが後にアジアの巨大麻薬組織の大ボスとなる「クン・サー」です。
時は経ち、当時は国民党兵士として戦ってきた彼らも、政府の要求通り武装解除に応じました。現在では麻薬に関してはすべて放棄し、「お茶」や「コーヒー」などのプラントを経営したり、国境付近でカジノを経営したり、観光業、建設業や貿易業を営んだりと、事業家としての道を歩んでいます。
こんな影の歴史がある場所なのです。
そうなると、気になってくるのは「治安」なのでは?
ゴールデントライアングルの治安
はっきり言いまして、現在は少なくとも「タイ領」での麻薬栽培はほぼ撲滅されたと思って大丈夫です。
当時、組織に関わっていた人やその子孫もこの地に多く住んでいますが、現在では至って普通に暮らしています。
なので、この件がらみの治安で言ったら、タイにある他の都市となんら変わりはありません。むしろ様々な人が行き交うバンコクよりも、治安面で言ったら良いのでは?と感じました。
もちろんここは海外なので、スリや置き引きなどに気をつける、喧嘩はしない、夜は出歩かないなど、一般的な海外旅行の渡航先と同じ程度でしょう。
「ラオス領」も、ボートで行く観光エリアに関しては同様です。
「ミャンマー領」はどうか知りませんが(笑)そもそも、外国人はゴールデントライアングルからミャンマー領に入れません。
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観光に必要な所要時間
もちろん、それぞれ旅のスタイルによって変わります。ゴールデントライアングルに到着後、1〜3時間でできることをまとめました。
1時間でできること
到着後、メコン川沿いの遊歩道を散歩して、展望デッキで記念撮影。市場や大仏付近をちょっと散策をして、トイレに行って終了。
2時間でできること
1.のコースに加え、食事をしたり、喫茶店で少しゆっくりできます。
3時間でできること
1.のコースに加え、ボートツアーでラオス領に上陸。ラオス側ではショッピングや食事ができます。
付近にはホテルもいくつかあるので、ここが気に入ってゆっくりしたい人は1泊しても良いでしょう。
ただ、冒頭で述べたように、メコン川を眺めながらゆっくり過ごしたいのであれば、宿泊地は「チェンコーン」の町の方が雰囲気も良くておすすめです。
ゴールデントライアングルへの行き方・アクセス
メーサイのタイ・ミャンマー国境ゲート付近から約30キロ。
アクセス方法は、旅のスタイルに合わせて3つほどあります。
1.レンタカーやレンタルバイク
一番おすすめなのはレンタカーです。北タイにはアクセスの悪いところに見どころがたくさんあります。レンタカーがあれば効率よく周遊できますし、自分のタイミングで移動可能です。さらに荷物もトランクに入れておけるので、非常に便利です。
レンタル費用も1日3000円程度〜とそこまで高くないので、普段から運転に慣れている人は検討してみてはいかがでしょう。
バイクに乗れる人は、レンタルバイクという手もあります。こちらは1日1000円程度とリーズナブル。ただしタイのバイクは排気量が100cc以上のため、日本でいう「自動二輪」の国際免許が必要になります。
バイクは無免許でも借りること自体は可能ですが、摘発されると当然罰金を取られますし、一部の警察官は運転者のパスポートを取り上げて、「返して欲しければ〜〜B出せ」などと恐喝まがいのことをする人も。ここは自己責任です。
2.バスとソンテウ
バックパッカーに多い移動手段がこちら。
ソンテウとは、トラックの荷台を改造した乗り合いバスのことで、非常に格安で移動することが可能です。
ゴールデントライアングル行きの乗車場所は、メーサイの国境ゲートから数キロ移動したところにあります。詳しい場所は、国境から出発するソンテウの運転手に「ゴールデントライアングルに行きたい」と伝えれば、降りる場所を教えてくれます。
所要時間は約30分。
ただし、デメリットも多いです。まずメーサイの出発時間は午前中から昼過ぎまでに限られていて、帰りの出発時間も午後3時ごろが最終便となります。なので時間に制約がついてしまうこと。
もう1つは、ある程度の「度胸」と「行動力」が必要なこと。自分から積極的にアピールしたり、質問したりする「壁」があります。旅慣れている人ならクリアできると思いますが、初心者だとなかなか難しいです。
時間の制約に関して言えば、ソンテウを「チャーター」してしまえばクリアできます。
金額は行き先と時間にもよりますので、交渉力が必要となってきます。
3.ツアー
チェンライなどの町から、北タイを何カ所か周遊する日帰りツアーを出している旅行代理店もあります。基本は英語対応となりますが、バンに乗っていればすべてお任せできる手軽さとメリットがあります。
また、最終便に乗り遅れて帰れなくなったり、自分で運転して事故に遭うなどのリスクもありません。
一番楽な手段です。
まとめ
悠久のメコン川が3国を分ける「ゴールデントライアングル(黄金の三角地帯)」
ここでは小型ボートでメコン川を渡り、船で隣国に行く体験ができます。
町の歴史や空気感に興味のある人は、北タイ周遊旅行の際、目的地の1つとして訪れてみてはいかがでしょうか。
レンタカーがあるなら、中国国民党の終着点・メーサロンの街に立ち寄ってみるのも面白い↓↓
チェンライには温泉もあります。
少数民族のカフェでまったり。アカ族料理が美味しい!
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