こんにちは!Asia-Jin(あじあ人)です。
前回は、タイでレンタカーを借りる際のチェックポイントを紹介しました。
地方に行けば行くほど、交通の便が悪くなるのは日本も含め世界共通ですね。その分、観光客にあまり知られていない秘境や、観光未開発のエリアがあったりしてとても魅力的なのですが。
タイは、どんなに地方に行っても、車が通る道路はきちんとアスファルトで整備されているので、また日本と同様の左側通行で右ハンドルなのでとても運転しやすく、クルマさえ用意できれば旅行しやすい国だと思います。
しかし、やはりここは外国。いくら日本と道路のインフラ環境が似ていたとしても、交通事情は全くの別物です。タイでタクシーに乗車したことのある方なら分かるのではないでしょうか。
交通ルールはあまり守られておらず、右から左から追い抜くクルマ、逆から向かってくるバイク。。。
今回は、在住者であり毎日バンコクで運転している私が、今までの経験をもとに、タイの道路事情と、タイでレンタカーを運転するにあたって注意するべき事項をまとめました。
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タイの交通事情
道路の種類
タイの道路は大きく分けて以下のようになっています。それぞれの注意点をまとめました。
1.モーターウェイ(有料)
日本の東名高速、名神高速など高速自動車国道(高速道路)にあたります。区間によりますが最高速度は120km/h。
現在バンコクからチョンブリー7号線(2018年パタヤまで延伸)、バンナーからアユタヤ手前のパンパインまでの9号線カンチャナピセークロード、バンナーからサムットサコーンまで同9号線が整備されています。
片側4〜5車線で非常に広く走りやすいですが、その分飛ばす車が多く、右から左からサーキットのようになります。
バンコクからパタヤに向かう7号線は、スワンナプーム空港を過ぎたあたりから数多くの運河を渡りますが、路面と橋の高さが合っていないため、スピードを出しているとジャンプ台のように飛んでしまいます。
料金は後払いで、入口で通行カードを受け取り、出口で支払います。
バイク、トゥクトゥクなどは進入禁止です。
2.準モーターウェイ(有料)
日本の第三京浜、伊勢湾岸自動車道などのイメージです。最高速度は80km/h。
バンナーからチョンブリーのアマタナコン工業団地付近までの高架線は、その先7号線モーターウェイと合流。スクンビットのプラカノン付近からラムインタラ方面ラムルッカ手前までの高架線は、その先9号線バンパイン方面と合流します。
片側3車線の平坦で走りやすい道路が続きますが、地上高い高架線を走るため、風の影響を受けやすいです。バンタイプの車は注意が必要です。
チョンブリー方面は後払い式で、ラムインタラ方面は均一料金のため先払い式になります。
バイク、トゥクトゥクなどは進入禁止です。
3.バイパス(無料)
日本の保土ヶ谷バイパス、名阪国道などに相当します。
モーターウェイと変わらないほど良く整備された道路で、非常に運転しやすいですが、交通量が多い時は車間距離はほぼ皆無となります。坂の手前や、合流地点などで急ブレーキが多いので、注意が必要です。
バイク、トゥクトゥクなどは進入禁止ですが、たまに違反で進入車を見かけます。
4.トールウェイ(有料)
日本の首都高速や阪神高速などに相当します。
バンコク都内のみに整備されています。渋滞の街を飛び越して東西に移動できるため利用価値は高いのですが、分岐点が多く、次から次へと連続で迫る案内標識も読みにくいので、慣れないとかなり走りにくいです。また、これも右から左から追い越しをかけてくる車が多いので、ミラーをよく見てゆっくり車線変更しましょう。
バイク、トゥクトゥクなどは進入禁止です。
5.幹線国道(無料)
幹線国道は、側道と通過線に分離されている区間があります。規制によりますが通過線内の最高速度は80km/h。
バンコクからドンムアン空港付近を通過し、ランシット方面へ走る31号線、バンコクからチョンブリー方面の34号線、バンコクからサムットソンクラム方面の35号線などがこれに当たります。
側道は、路上駐車やバイクの逆走が多く、またバス停などもあるため、交通の流れは常にぐちゃぐちゃになりがちです。
通過線内はバイク、トゥクトゥクなどは進入禁止です。
側道と通過線の分離が終わった後は片側2車線の道が続き、最高速度は90km/hです。比較的快適に走れるでしょう。ただ相変わらず周りの車はスピード狂です。
市場付近や工場付近は、横断者がパラパラと数人で固まって横切るのでかなりの注意が必要です。また、左車線をゆっくり走るバイクが多いので危険です。夜は特に尾灯が「無灯火」のバイクも多いので、より一層の注意を必要とします。
たまにUターン車両が無理やり出てくることもあります。
6.一般国道(無料)
幹線国道を補完するのが一般国道です。片側1〜2車線の道が続きます。
中央分離帯がなく、対面通行の道路も多いです。遅い車に追いつくと、対向車線を使って追い越す車が多いです。たとえこちらが近くまで来ていても、無理に追い越そうとしますので、その場合こちらが路肩にはみ出して避けてあげなくてはいけません。向こうは最初からそのつもりで100km/h以上に加速して突っ込んでくるため、ここで変な日本的な正義感を出したり、意地になって相手の邪魔をすると、間違いなく大怪我をします。。
夜間は街灯もない道が多いので、非常に暗いです。
7.シティーリミット区間
国道を走行していると、たまに「CITY LIMIT」と書かれた黄色い看板を目にします。これは、ここからしばらくは街があるから、規制速度を守りなさいよ〜っていう意味です。
規制速度は40〜60km/hです。
学校があったり、市場があったりして、横断者が結構飛び出してきます。
8.山間部
場所によっては、谷側にガードレールが設置されていない区間があります。すれ違い時などは細心の注意が必要です。また、街灯は基本的に無いものだと思ってください。
ゆるいカーブが連続する道が続き、気持ち良く飛ばしていると、いきなり急カーブが現れたりします。スピードの出し過ぎには十分注意しましょう。
また、家畜の牛や、象などの野生動物と遭遇することもたまにあります。過去にはトラに遭遇した人もいるようです。私も以前野生の象に遭遇したことがあり、前を走っていたコンパクトカーは「長い鼻」でバシッとやられてしまい、運転手は車を捨てて走って逃げて行きました。
見つけたら近づいたりせずに、できればUターンして別の道を探す方が賢明です。
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道路の設備
タイの道路整備状況は日本と比べたら相当脆弱で、夜になるとそれが顕著に現れます。できるだけ夜間の運行は避けるスケジュールを立てましょう。
真っ暗
ほとんどのクルマのフロントガラスには、黒いスモークが貼られています。ただでさえ街灯が少なく見づらいのに、スモークまで貼られてしまったら危なくてしょうがない!
なるべく日が出ている昼間の運行を心がけましょう。
洪水
雨季にまとまった雨が降ると排水が追いつかず、すぐに冠水してしまいます。気がつくと膝下くらいまでの洪水となります。ここまでくると普通車では太刀打ちできないので、水が引くまで大人しく高台に移動しましょう。
冠水による故障は、保険の対象外になることがあります。
反射板なし
日本では、道路と側溝の境界やセンターラインに、ヘッドライトの光を反射する道路びょうやリフレクターが設置されていて、街灯がない道路でもできるだけ安全に走れるように工夫されています。
タイでこのような設備はほとんどなくて、しかもガラスも黒いので、先行車のいない夜間は、右も左も前さえも真っ黒です。さらに雨なんか降ったら自分がどこを走っているのかわからなくなります。
ガードレールなし
最近はやっとガードレールなどを設置した道路が増えてきましたが、地方の山越えルートだと、谷側にガードレールが設置されていないところもあります。通るだけで鳥肌が立ちますね。
タイのドライバーあれこれ
日本と比較して、安全意識はかなり低いです。タイは「改善」「反省」という文化や概念がほとんどないので、それが根本として道路交通にまで影響しているのだと考えています。
ここから先は「雑談おしゃべり」ですが、この中からタイで運転するための安全対策が見えてくると思いますので、目を通してみてください。
すべて実話です。
ウインカー?なにそれ?
最近になって、やっとウインカーを使うドライバーが増えてきました。しかし、左折するのに右ウインカー出したり、曲がってからウインカーを出したり、曲がる1キロ手前からウインカーを出したり。。。
使い方合ってますか〜?
クラクションは鳴らすな!
日本では、危険を避ける時以外使っちゃいけないって教習所で習いましたよね。
タイでは、危険な時でもあまり鳴らさないんです。実際にバンコクの街であれだけ交通量が多い中、クラクションの音を何回聞きましたか?
じゃ、一体いつ鳴らすんだよ?
答えは「喧嘩を始める時」です。
タイでは、たとえこちらが正しくても、公共の場でそれを前面に出して主張するのは良くないこととされています。それが許されるのは、階級の上下がはっきりしている時、かつ自分と相手以外の第三者が見ていない時だけです。
タイは階級社会なので、それがはっきりと現れています。
これが道路交通の場にも適用されていて、車両にも暗黙の了解が存在するのです。
例えばの話、あなたがベンツSクラスや、ランボルギーニに乗っている時なら、堂々とクラクションを鳴らして大丈夫です。他のほとんどの車はあなたをVIPの優先車両と認識しますから、みんな避けてくれます。
何ともいやらしい話ですが、これが現状であり実話です。
例えば、相手の車との階級がはっきりしないのに、または階級の低そうな車からビービー鳴らされたら、人によってはその場で武器を持って降りてくるかもしれません。
普段温厚なタイ人は実は瞬間湯沸かし器。何かのスイッチが入ると、一瞬でキレます。
一度切れたら止まりません。
タイの場合、クラクションは喧嘩や攻撃の合図でもあるんです。
こんなところに、タイ社会で生きて行く大変さが見え隠れしていますね。
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互いに避け合う文化
たまに2車線をまたいで走行している車を見かけます。何やってんだこいつと思ってよく見てみると、左にいるバイクなどを避けながら、右の車線に割って入ってくるんですね。タイ人はそんな時、意外にもすんなりと自分の前に入れてあげます。
ただ荒いだけじゃないんだな。。と感心したりもします。
下手くそ号とプロ級レーサー
タイの運転免許制度は、まあ褒められたものではありません。まず、試験を受けに行くのに自分の車を持ち込むわけです。
あれ、免許がまだないのに、どうやって持ち込むの?
警察官はこう言います。
免許なくたって、今から受験するくらいなんだから、試験場までくらいだったら走れるだろ?
教習所なんてほとんどないに等しいです。
免許は買うものです。日本円にして数千円。
試験内容は、直進、ブレーキ、曲がる、バック、止まる。
以上。
学科試験は、試験官が答えを教えてくれます。
練習は、親の車を借りて、1時間くらいちょこっと教わって終了。
これでいきなり公道に出てくるわけです。
交通ルールなんか知っているわけないじゃないですか。
逆に、乗り合いバスの運ちゃんなんか、こんなカオスな道路を毎日運転しているわけですよ。プロレーサー級にうまい人も結構います。
つまり、日本と違い「運転技術の差が極端に激しい」ということ。
わがまま
タイでは、日本と違い「子供を叱る」ということをあまりしません。
こんな事情により、ちやほやされ慣れている若い人は、男女問わず天真爛漫で自由奔放な方が多く、常に私がナンバーワンと思っている人も結構多いように感じます。(もちろん人により、非常に謙虚な人もいますが)
こんな人は、車に乗ってもその感覚のまま運転してしまうんですよ。
交通量の多い幹線道路の真ん中車線で、先は空いているのにいきなりブレーキを踏んだ車がいて、何事だと思って車内を覗くと、スマホでラインかなんか打ってやがる!
また、曲がり角を行きすぎちゃったらしく、後ろからバンバン来てるのにバックで戻ろうとする。しかも途中路駐の障害アリ100メートル以上。
通り過ぎざまに覗き込むと、大抵は若いドライバーが運転しています。
実際私の知り合いや友人のタイ人と、このような話題で盛り上がったりします。
飲酒運転はダメよ
日本だったら、全員逮捕!!ですよ。
金曜日の夜10時以降は、危なっかしい車が本当に多いです。
最近は取り締まりも厳しくなってきたようですが、タイは未だに飲酒運転が多いです。
確かに、タイ人は日本人より酒が強く、もともと運動神経も良いので、多少飲んでもほとんど運転に影響しないらしいですが。。。(タイ人いわく)
検問で捕まってもワイロで解放されてしまいます。
また、夜明けまで飲んでから帰れば、検問は終了するのでフリーウェイだと「警察官」がアホなこと言っています。
ダメだこりゃ。
日本人である私たちは、よそ様の国でこんなことしては絶対ダメです。
他にもたくさんの話があるのですが、そろそろまとめに入りましょうか。
タイの路上で注意すべきこと
1.「周囲のクルマや歩行者を信用するな」
という意識を持っていれば、それだけで危険は減らせます。
相手は突っ込んでくるものだと思って、先に行かせてやればいいじゃないですか。
2.「バイクは空からも降ってくるぞ」
これぐらいの気持ちで、バイクには注意しながら運転しましょう。いつどこから出てくるか予測できないのが「バイク」です。
3.「優先意識を捨てろ」
日本の道交法と、タイの道交法は似ている部分が多いです。しかし、ドライバーの意識は決定的に違います。
法規よりも本能優先で運転しているドライバーが多いんです、
日本のように車両の優先問題を持ち出すなら、まずはタイの交通法規を1から100まで頭に叩き込んで、そして相手のタイ人を言い負かせられるだけのタイ語も学んでからにしましょう。
それがダメなら「自分は優先じゃないんだ」と思いながら、他の車の動きに合わせて運転していた方が安全です。
4.「なるべく周りに合わせろ」
周りに合わせて無理に速度違反する必要ありません。しかし、必要以上にゆっくり走ると「追突」されますよ。タイ人は、まさかあなたがその位置でゆっくり走ってるとは思わずに、右に左に追い越しながら突っ込んできますから。
また、前の車が歩行者に道を譲っていなかった時は、あなたも譲らないでください。普段タイ人がしないことをあなたがすると、それが結果として事故を誘発するのです。
あなたが止まってあげたとして、歩行者が横断してるところに、脇からバイクが突っ込んできますよ。
タイ人たちは、何かの理由があり、分かっていながら「あえて」この行動を選択している、という場合があります。それが何なのか、外国人である私たちにはさっぱり分からないのですから、周りを見て歩調を合わせるのが大事だと私は思うんですよね。
逆に日本社会において日本人が当たり前のように、無意識のうちに選択している行動は、外国人からしてみたら長い年月をかけないと「それがどんな意味を成すのか」到底理解できないわけです。同じことですね。
5.「タイの交通現場はタイ人のやり方で回っている」
最初は戸惑うと思いますよ。これだけめちゃくちゃな交通事情ですから。でも、慣れてくると意外と走りやすいんです。
思ったよりも車線変更で前に入れてくれるな。
あれ、黄色信号でちゃんとブレーキ踏むな。
加速は意外とゆっくりだな。
車線変更はゆっくりハンドルを切るな。
もともとタイ人は穏やかな性格の人が多く、争いごとを嫌う人たちです。
じゃあなんで運転が荒いのかって?
いいえ。よく観察すると、タイ人の運転操作自体はそんなに荒くないんです。
「追い越し方法」と「頻繁に車線変更」「速度」などの運転方法が荒いんですよ。また一部の若者が、急発進させたり、急ブレーキを踏んだりして、タイヤを軋ませて大きい音を出して遊んでいるんです。
ということは、車の動きに対して、事前に何だかのサインが見えてるってことですね。
それを見逃さないように運転すれば、そこまで危なくないんじゃないか。と思うわけですよ。
タイでの運転は、よく「格闘技」と言われます。法規より本能が優先される交通現場なので、タイミングと間合いの詰め方が重要なんです。
また、お互いのクルマを信用していないということは、逆に言えば、お互いのことをよく見ている。とも言い換えられますよね。
そんなわけで、慣れたら意外と走りやすく思えるわけです!
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タイに移住してから、もう15万キロ以上この地で運転してきた経験をまとめて、今回の記事にしました。
交通現場は、その地の人々の性格や特徴にマッチしたシステムで成り立っています。レンタカーを借りて運転することを選択した以上、ハンドルを握っている間はタイ社会の一員としてみなされます。
上記にまとめた注意点を頭に入れておけば、だいたいの危険は事前に防げるはずです。せっかく異国でドライブするのですから、一つでも多くの良き思い出を日本に持ち帰ってもらえたら幸いです!
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