ラオス最北端にある、中国との国境の町「ボーテン」。
首都ヴィエンチャンからの距離は約650キロ、道中のほぼ全区間が険しい山岳区間という辺境の地ですが、数年前から大量のチャイナマネーが投入されて、首都を超える規模の大都市に変貌しようとしています。
私は1年半前の2018年10月に一度訪れていますが、今回再訪したのでボーテンの「その後」をお伝えしたいと思います。
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過去に訪れた時の記事はこちらです!
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あれから1年、ラオス領内も順調に工事が進む
この日私たちは、北ラオスにあるルアンナムターの町を午前中に出発。
今回宿泊したホテルはこちら!
ここから、中国との国境があるボーテンまでは約60キロ、1時間半の道のりです。
私たちは2018年に1度同じルートで訪れていまして、その時から1年ちょっとが過ぎた今どうなっているのか楽しみです。
それでは出発しましょう!
ルアンナムターの町を出てからしばらくの間は急カーブが続く山間部を走ります。道路の状態は凸凹も多く結構荒れていますが、一応舗装もされているので辺境地にしてはマシな方かと。
そのまま約半分くらいにある、ラオス側最後の町「ナトゥーイ」を通過すると・・
舗装がなくなりました!
中国と東南アジアを結ぶ陸路物流の要であるこの道路、20tクラスの大型トレーラーとひっきりなしにすれ違います。去年まではかろうじて残っていた舗装が剥がされて、今はただの砂利道に・・。
このシーズンは乾季なので雨が降らず、車とすれ違うたびに砂埃が舞い上がります。とは言え、雨が降ったら降ったで道路がぬかるんで危険ですが・・。
もう前が見えません。
慣れない右側通行なので、いつもよりも慎重に車を走らせます。
中国雲南省には、民族的に北ラオスと深く関わり合いのある町が多く点在していて、その移動はほぼこの区間を通過します。
なので、現在急ピッチで鉄道の線路を敷設中。
ラオス領内は単線ですが、昆明から首都ヴィエンチャンまで新幹線(高速鉄道)を走らせる計画で、去年までは無かった軌道がほぼ完成しています。
まずは昆明ーボーテンまでの区間を部分開業、その後はウドムサイ、ルアンパバーン、ヴァンヴィエン、首都ヴィエンチャンと順次延伸していく計画だそうです。
ただ、ウドムサイ以南は距離にして300キロに渡り1500m級の険しい山岳区間を通過するので、トンネルの採掘と、途中の谷を越える橋を架ける工事が難航。その結果、橋脚や土台だけ作って頓挫していて、全線開業の見通しはいまだに立っていません。
工事現場には、採掘中の鉱石が山積みになっています。
その脇には新幹線(高速鉄道)の橋脚と高架線が一直線に伸びていて、残すところは変電所などの設備と架線の設置。
なので、高架線が完成しても、当面は非電化のまま貨物路線として運行することを検討中だそうです。
路面が一段と悪くなり、赤土が出てきたらまもなくボーテン。
この付近は山を丸ごと消しとばして、都市作りに不可欠な平地を無理やり作ったそうです。さすが中国!相変わらずとんでもないことを考えます。
それにしても、工事車両が土を踏みしめるので、路面が波状になっていて走りにくいったらありゃしない。
ハイエースの足回りからガリガリと悲鳴が聞こえてきます。
左右にハンドルを切り、段差やくぼみを避けながら運転していると、後ろから嫁さんの冷たい声が聞こえてきます。
嫁「あなた、一体どういうつもり?わざと変な運転して、私に嫌がらせ?ねえ?」
あー、うちの怖い嫁さん怒ってますね。
道が悪いのでただでさえ上下に跳ねるのに、それに加え左右にGがかかるのだから・・。でも私は悪くないぞ!潔白だ!
気を取り直して・・
この辺りが新幹線(高速鉄道)ボーテン国境駅の予定地。
従来の自動車用国境ゲートからは2キロほどラオス側に入ったところにあります。それに合わせて、バスターミナルとホテル、免税店が入ったビルを新たに建設するとのこと。
あれですね、中国にある「無駄に広い」高速鉄道の駅を作るんですね!
ちなみにですが、完成予想図はこんな感じ。
これを見る限りは、明らかに首都ヴィエンチャンを上回る規模の都市です。チャイナマネーが注ぎ込まれる限りは、本当に実現しそうで怖い。
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さらに中国化されたボーテンの町
ひとまず、新区画にある未完成のビルの駐車場に停めましょう。
聞いたら、駐車違反の取り締まりはやっていないようですが、知らない町なので念のため。
お隣には雲南ナンバーの車が。
私のハイエースはバンコクナンバー。国際的な出会いですね!
しかし、ボーテンはまだラオス領のはずなのに、ラオスナンバーをほとんど見かけません。理由を聞いてみたら、ここは中国の指定特区なので、許可のないラオスナンバーは勝手に入域できないそうです。
また一般的なラオス人にとってみれば、用事がないのでまず来る必要がないとか。
それでは、早速街歩きに出発しましょう!
前回来た時は、過去にカジノ開発で失敗した廃墟が残っていた区画ですが、あっという間にタワーマンション(コンドミニアム)が立ち並ぶ高級住宅街に。
この付近はコンドミニアムがメインの住宅街、駅の付近は金融・オフィス街になる予定だそうです。
お隣の区画は、昔から残る居住エリアですが、ほとんどがリニューアルされて綺麗になっています。1階には飲食店や商店が入り、その上は住居になっているビルですね。
以前よりもさらに四川料理店が増えた様子。
お腹も空いたので、あとで立ち寄ってみましょう!
完成間近のコンドミニアム。
デザインが東南アジアっぽくないのは、中国のデザイナーが設計したからでしょうか。
この辺りは10年以上前に作られた区画。主に物流企業の事務所や大店の商会などがあります。
裏側には、建設労働者が入居するプレハブエリア、大通りの反対側は以前からの住人が入居するエリアがあり、いずれも新幹線の開通に合わせて再開発の対象とのこと。
ほぼ全域にわたり中国人のための町になっていて、前回訪れた時よりもさらに中国化が進んでいるように思います。
こちらは以前からある国境ゲート。
中国各地からバスで中国側の国境「磨憨(モーハン)口岸」に到着した後は、徒歩でイミグレーションを通り、そのままラオスに渡ることもできます。
また中国ーラオス各地へ直通する国際バスも運行されているので、陸路で旅する方は直通を利用する方が便利です。
ただし、ラオス領を夜間運行するバスはオススメしません。
ラオスは中国に比べて道が悪く、山岳路線でもガードレールのない急カーブが続くので、深夜の転落事故が相次いでいます。
また、過去には武装した盗賊が夜行バスを襲撃する事件も多数発生しているので、明るいうちに移動するのがラオスの基本です。
日中には襲撃事件は起きていませんし、事故のリスクも減らせます。ただし運転がかなり荒いので、旅慣れていない人は飛行機での移動を検討してください。
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ボーテンは四川料理店が多い!
さて、お腹がすいて来たので、ここら辺でお昼ご飯といきましょう!
散策中に何軒か目に入っていた四川料理店。
高級店はほとんどありませんが、庶民食堂タイプのお店が軒を連ねています。
前回訪れた時も四川料理をいただきましたが、その頃よりも明らかに店が増えている!
どうやら廃墟となっていたのを去年リニューアルした際、中国から移住して新しく開業したそうです。
今回は、この店で食べてみましょう!
「重慶家常菜」
重慶出身のおばちゃんが移住して、ここボーテンの地に開業したそうです。
従業員は、ミャンマーと中国の国境付近モンラという町からの出稼ぎ。ミャンマーのモンラやチャイントンがあるシャン州は、古くから中国と関わりがあり移民も多いため、四川や雲南味がベースになっている料理が多いのです。
またシャン州民の多くは中国語を話すので、私が住むタイのバンコクにある中華料理店の従業員も、そのエリア出身者が数多く活躍しています。
店はこじんまりとした食堂スタイル。テーブルは室内4卓、屋外4卓のみ。
お昼時だと常に満席になる人気店で、散策中に見かけた時は待ちまで発生する盛況ぶり。
パッと見た感じでは建設関係のマネージャークラスが多く訪れるようで、大通りの反対側にある労働者が集う安食堂よりも静かで客層が良い印象です。
例によってメニューがないので、スマホの写真を見せながらジェスチャーでオーダーしました!
ラオスの飲食店ではメニューがないところも多く、食材を選んで自分で調理法を指定するスタイル。なので言葉が通じないと注文するのにちょっと工夫が必要になります。
まずはこちら!
豚バラの麻辣ニンニク和え冷菜「蒜泥白肉」です。
パクチーが乗っているのは雲南スタイル。
辛い!そしてさっぱりして食べやすい!ご飯が進みます。
豚肉とタケノコのにんにく炒め。
これは嫁さんがタイ語で無理やりオーダーした料理。回鍋肉のような味で、キャベツの代わりにタケノコが入った感じです。
これもうまい!
毎度おなじみの麻婆豆腐!
四川風の舌が痺れるのが好きな私たちは、花椒を追加でリクエストしました。
・・・辛い・・・・・・!!!!この辺りで口の中が暴れ出します。
重慶麺です!
どんぶりは普通サイズですが、麺の量がかなりの大盛り!
タイラーメンの2倍はあるでしょう。日本でいう大盛りくらいのサイズで、大人がお昼として食べるならば、これ1杯で十分お腹いっぱいになるかと思います。
肉味噌の深みがあって、なるほど、重慶の味をきちんと再現していますね。
料理は全体的に美味しいのですが、どちらかというと雲南風の四川料理かな?
厨房をのぞいてみると、大量の唐辛子が花椒と一緒に炒められています・・・。麻辣を作っているんですね。
その作業を興味深く見ていると、おばちゃんがひと摑み袋に入れて、お土産として持たせてくれました!辛いもの大好きな嫁さんが大喜び!
ボーテン国境には大規模な免税店もあるよ!
陸路の国境だと、どこに行ってもだいたい平屋建ての免税店や売店があるだけの所が多いのですが、ここボーテンでは巨大な免税店がそびえ立っています。
大通りに面した一角にあるこの建物。
高級感がある外観はまるでデパートみたいです。
建物は3階建てになっていて、1階が化粧品と香水、2階はブランドものや衣類など、3階は酒とタバコやお菓子などを取り扱っています。
品揃えは、陸路国境の免税店としては豊富な方だと思いますが、残念ながら真贋の方は不明・・。
そもそも、ラオスやカンボジアの陸路国境にある免税店は、ほとんどが偽物パラダイスになっているのであまり信用がないんですよね・・。ここは一応ラオス領なので・・。
なので私の個人的な見解としては、ブランド品などは空港以外では買わないほうが良いかと。
酒やタバコは、中国の一般的な銘柄ならおそらく本物、外国製に関しては「・・・」といったイメージです。
あくまで個人の感想ですが・・(笑)
ただラオス国内では入手しずらいワインやウイスキー、ジンやラムなど各種スピリッツ、中国の白酒なども比較的手頃な値段で揃っているので、この後ラオス国内で消費する予定があるならば、ここで買っておくのが良いでしょう。
国境ゲートから1キロくらいなので、歩いてもせいぜい15分程度。綺麗なトイレも無料で借りられるし、街の散策と合わせて立ち寄ってみては?
免税店なので、買い物をするにはパスポートの提出が必要になります。
また支払いはラオスキープのほか、中国元やタイバーツでも可能。ただしクレジットカードはラオスか中国のIDカードがないと使えないので注意が必要です。
まとめ
中国とラオス国境の町「ボーテン」は、前回訪れてから1年ちょっと経過した2020年現在、さらなる発展を続けていました。
新区画が続々と実装され、新幹線駅の予定地は基礎工事も完了。ラオス領内には真新しい高架線が部分的には完成していて、あとは残る区間の建設と架線の敷設を待つのみ。
あと数年後には一体どんな都市ができるのか。そして、本当に首都ヴィエンチャンを上回る都市が出来上がるのか。今から楽しみでもあります。
2020年は新年早々コロナウィルス騒動もあり、中国だけにとどまらず、アジア全域の経済に影響が出ていますが、この辺境にあるボーテンにも影響が出るのでしょうか。
新幹線が開業した頃に改めて再訪してみたいと思います。
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