こんにちは!Asia-Jin(あじあ人)です。
バンコクからチェンマイまで、約800キロ。移動方法としては飛行機が一番早くて楽な手段です。最近は格安航空のLCCも何社か競合していて、片道2000円代で飛べてしまう日もあります。
しかし、飛行機で1時間。あっという間に目的地に着いてしまうのって、何か味気なくないですか?
時間の制約がある旅行でしたら、目的地での滞在時間を最大限に延ばせる飛行機は、非常に有効な移動手段です。
しかし、私は昔から「移動するのも旅のうち」という考えのもと陸路移動が好きでして、鉄道があるならば列車でのんびりと移動することに価値を置くタイプなんです。
今回は、バンコクからチェンマイまでタイ国鉄の夜行列車で行ってきたお話です。
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タイ国鉄の夜行列車でチェンマイまで
今回の旅程
バンコクを22:00に発車する寝台急行51列車に乗り、ひたすら北上。
翌朝にはタイ北部の山間地帯を走り抜け、昼の12:01分にチェンマイに到着するスケジュールです。
所要時間は14時間1分。
わざわざエアコンなし車両を選んだ3つの理由
他に寝台特急もあり、それに乗った方が早く到着しますが、今回はパス。
理由は、寝台特急は「新型車両」に置き換えられてしまったから!
普通ならば、新型の方が快適でいいのに・・と思うところでしょうが、私の場合は「旅情」と「風情」を求めて夜行列車に乗るので、旧型車両の方が好きなのです。
また、今回はあえて「エアコンなし」の寝台車を予約しました。
理由は、窓を開けて走行中の景色を撮影したかったこと、雨季の山間部で涼しい風を感じたかったから。
もともとエアコンがあまり好きではない上、タイのエアコン車はまるで冷凍庫。5年前に列車で風邪をひき倒れた経験もあるのです(笑)
こういった理由から、今回はエアコンなしの旧型で運行される寝台急行をチョイスしました!
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旅の始まりはフアランポーン駅(バンコク駅)から
タイ国鉄の長距離列車が発着する駅は、この「フアランポーン駅」が始発となります。
ガイドブックによっては「ファランポーン」や「ホアランポーン」などいろいろな表記がありますが、聞こえ方には個人差があるため正解はありません。
長距離列車に乗って地方から上京したタイ人は「クルンテープ駅」、クルンテープとは「バンコク」を示すタイ語。
つまり「バンコク駅」と呼んでいます。
ちなみに厳密には「フアランポーン駅」とは、隣接する地下鉄MRTの駅名との事。
ただバンコクにいるタイ人は、長距離列車を使う人が圧倒的に少ないので、地下鉄MRTの「フアランポーン駅」の方が知名度があるようです。
よって現在では「フアランポーン」と言えば、国鉄駅も地下鉄駅も含め、このエリア全体を指す代名詞のようになっています。
さて、今回はそのフアランポーン駅から出発し、14時間かけて北の都「チェンマイ」まで夜行列車に乗って移動。
チェンマイに2泊して、帰りは飛行機でバンコクに戻ってくるという3日間のスケジュールを立てました。
結論から言いますと「もっと長く滞在したかったな〜」と思えるほどチェンマイは良いところでした!
そして「帰りも列車にすればよかったな〜」と。
おっと、時刻は21時40分。
それでは、列車が待つホームに向かい、チェンマイに向けて出発しましょう!
チェンマイ行き寝台急行51列車の編成
私は、事前にネット上でチケットの予約と支払いを完了しているため、そのままホームに向かいます。
予定では6番線からの出発と・・。
ありました!
以前は液晶案内板なんてハイテクなものは無かったはずなのに、ここ数年でだいぶ進化したタイ国鉄。
最後尾の車両は2等エアコン寝台車。
床下に発電用のディーゼルエンジンを積んでいて、ブウォーンという轟音を響かせてています。
この寝台急行51列車は、2等エアコン寝台が1両だけ連結されていて、あとは全部エアコンなしの編成。
この車両が今回乗車する2等エアコンなし寝台車。
かなり年季が入っている車両ですね。この無骨さ加減が「アジアの旅」を表現するにはちょうどいいと感じるのです。
とはいえ、この時間になってもバンコクは蒸し暑く、気温は28℃。
雨上がりのため湿度もかなり高く、この時点でかなり不安になってきました。果たしてチェンマイまで14時間耐えられるのだろうか。
発車まで時間があるので、少し探検しましょう。
お隣の車両は「食堂車」!
日本ではとっくの昔に廃止されてしまいましたが、タイでは現役で営業中です。
後でお邪魔してみましょう。
おっと、ホームで洗車作業中です。
汚れた車両を1両1両手洗いしています。窓が開いているのに気にせず水をぶっかけるのがタイ式(笑)
こちらは2等エアコンなし座席車ですね。
日本で言うところの古いグリーン車からエアコンを外した感じですね。暑いけど、乗り心地は意外と良くて、タイに来たばかりの頃は、これに乗ってよく全国を旅行しました。
懐かしい。
これは3等座席車です。
洗車したからピカピカになっていますね。
4人掛けのボックス席がズラーッと並んでいます。
私がまだ中学生の頃、JR東海道線には東京から名古屋を超えて、岐阜県大垣まで走る夜行列車が走っていました。いわゆる大垣夜行ってヤツですね。その列車(当時は165系使用)がちょうどこんな感じのボックス席だったのです。
これです。
こういうのを求めているのですよ。
昔の懐かしい風景や思い出がパッと蘇るじゃないですか。
そんなノスタルジックな気分に浸っていると、発車の時間になったので、一旦乗り込んで自分の席に戻ります。
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タイ国鉄は始発から遅延が当たり前!?
時刻は22:10分。
発車予定よりも10分すぎましたが、一向に発車する気配がありません。
さらに10分過ぎて、時計の針は22:20分を回りました。
聞くと、先行列車が遅れていて、先が詰まっているとのこと。
タイ国鉄はバンコク近郊だけ複線で、そこから先はひたすら単線が続きます。つまり日常的に遅れやすい体質なのです。
これは昔から変わりませんね(笑)でも以前よりはだいぶ遅延が減っているようです。
22:25分。
列車は「ガツン」と大きな衝撃を残し、25分遅れでようやくゆっくりと動き出しました。
エアコンなし寝台車の車内
車内は線路と平行に2人掛けボックスが並び、昼間は座席車として走ります。この51列車は夜遅く発車するので、しばらくしたらすぐに係員が寝台を作る作業を始めます。
車内は薄いグリーンの化粧板が貼られており、座席は濃い紺色。
なんか古い日本の国鉄車両っぽさ満載です。
年季は入っていますが、意外とちゃんと手入れされていて、清掃もされている方だと思います。なので、汚いと言うより「味がある」と良い意味の方で捉えることができます。
列車はバンコクの闇の中をゆっくりと走ります。
東南アジアでは、線路沿いは貧困層が住むスラムとなることが多いのですが、タイでも同様です。職を求め、列車に揺られ、貧しい農村からはるばる上京してきた人が大勢います。大都会バンコクで夢破れ、住むところも借りられなくなり、線路沿いにはそんな人たちがいつの間にか集まるのです。
しかし、ここバンコクでは至って穏やかです。列車に対する投石やいたずらもありませんし、大きな事件もほとんど発生していません。これはタイ人が「前世」「今世」「来世」の因果関係に対する仏教の教えを信じているからでしょうか。
列車はしばらく時速30キロ程度でゆっくりと進みます。
「バンスー駅」に到着。
乗客がバタバタと乗り込んできて、車内は少し賑やかになります。
この辺りで車掌さんが2名、検札に現れました。
私は事前に印刷してきたPDFのチケットを見せると、「チェンマーイ 11.12、2名」「チェンマーイ 11.12、2名」と復唱て、後ろの車掌さんがボードの書類と照らし合わせてチェックしています。
デジタル化が進んでいないタイ国鉄では、一昔前のスタイルで検札するんです。
そして後ろからは「鉄道警察」の警察官が、一人一人乗客の顔をチェックしながら回っています。
これは防犯対策でしょうか。
ドンムアン空港駅を過ぎると急行の本領発揮
列車は「ドンムアン駅」に到着。今やLCCのエアアジアで奇跡の復活を遂げた、東南アジア最古の空港・ドンムアン空港の横にある駅です。
ここからもパラパラと数名の乗車があります。
線路沿いのコンクリートの橋脚は、もう少しで開通予定の鉄道「レッドライン」のものですね。
しばらくして音もなく発車。
列車は複雑なポイントをガチャガチャと乱暴な音を立てながらいくつか越えて、ぐんぐん加速します。
今までのおとなしい走りが嘘のように、横のハイウェイを走るクルマを追い抜いていきます。
「遅い急行列車」の汚名を返上するかのような走りっぷりです。実に小気味良い音。
そのまま時速80キロ程度で単々と走ります。
程なくして「ランシット駅」に到着。
この列車はランシットを出発すると、次の「アユタヤ駅」までは止まりません。
懐かしの食堂車でガパオライスを食べる
バンコク圏を抜けたところで、ガヤガヤとせわしなかった車内はようやく落ち着きを取り戻しました。
ちょうど良いので、食堂車に出かけてみることに。
私が乗る2等エアコンなし寝台車の隣が、ちょうど食堂車になっています。
食堂車には先客がいて、同じ車両に乗っていた東欧系と見られる外国人4人グループです。
コーラをオーダーして、楽しげにトランプをして遊んでいました。
私たちは手前のテーブルに着席。
今まで何回もタイ国鉄の夜行列車に乗っていますが、食堂車には必ず寄るのです。
車窓から流れる景色を見ながら食事すると、やっぱり「旅情」を感じられるじゃないですか!
ただ、正直に言いますよ!
「おいしくない・・・」
そして
「高い・・」
食堂車のメニュー価格は、町の食堂の3倍はします。
なので私の場合、食堂車で食べる料理の味は二の次でいいんです。
コックさんには悪いですが、鉄旅の風情を味わうための入場料のようなものだと思って利用しています。
「ゲンチュースープ」は美味しい!
しかしガパオは少ない上に、味がしない。。。
気を取り直して、右上の「プリックナンプラー」をご飯にかけて食べます。
ナンプラーに激辛唐辛子の輪切りをつけたタレでして、チャーハンを頼むとついてくるアレです。
ガパオよりこっちの方がうまい(笑)
流れゆく車窓の景色を眺めていると、遠い昔にタイムスリップします。
懐かしさ満点!
これが「夜汽車」の醍醐味ですね。
列車は闇の中を時速100キロくらいで駆け抜けます。
宮殿で有名な「バンパイン駅」も全速力で一瞬のうちに通過します。
線路の状態が悪く、たまにとんでもない揺れ方をするんですよ。
気がついたらスープがバシャバシャこぼれて、「アッ」と我に帰りました。
こぼれたスープが、窓からの強風にあおられて私のシャツにかかっています。それを見た嫁さんからまたお叱りの言葉が・・。
「俺のせいじゃないのに・・・」
と納得できないんですが、こぼれちゃったものは仕方ありませんね!
とりあえず食事を全部食べきって、しばらくの時間まったりと過ごします。
列車は「アユタヤ駅」のホームに滑り込みます。
ここでは、遺跡観光を終えた外国人観光客が何人か乗り込んだようでした。
すぐに発車。
時刻は0時を回りました。
単調なレールの音に誘われて夢の世界へ
しばらくの時間を食堂車で過ごし、自分の寝台に戻ってきたのは1時を回った頃。
列車は「ロッブリー駅」に到着。
ここは、町中至る所に「サル」が生息していることで人気の観光スポットです。バンコクから日帰りでもこれるため、私も以前何度か訪れました。
誰もいない、深夜の駅のホーム。
なんかいいですね。
そんなことを考えていたら、いつの間にかうとうと。
気がつけば、どこかの小さな駅に停車していました。すぐに発車。
列車は相変わらずの速いスピードで、田園地帯を直線に敷かれたレールの上を快調に飛ばします。
この日、私は昔のことをいろいろ思い出しました。
学生の時のこと、亡くなった親父のこと、タイに来たばかりの頃のこと、嫁さんと出会った頃のこと・・。
そんな昔の懐かしい思い出を、夜汽車は思い出させてくれます。
「明日はチェンマイで何を食べようかな・・。」
「明日は昼頃着いて、・・・・」
「マッサージでも・・・」
「・・・」
「・・」
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