こんにちは!Asia-Jin(あじあ人)です。
この記事は、バンコクからチェンマイまで寝台急行に乗って行ったお話の後編になります。
前編をまだ読んでいない人はこちら、
タイ国鉄の夜行列車でバンコクからチェンマイに行こう!鉄道旅行の体験記【前編】
を先にお読みください!
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タイ国鉄の夜行列車でチェンマイまで
目覚めは朝の香りで
「・・・・」
「どこだ?」
ゴツンというブレーキの感覚で目を覚ましたのは、タイ北部に広がる山脈のふもとにあるウタラディット県の中心地「ウタラディット」駅。
時刻は朝の6時31分。
朝のひんやりとしたすがすがしい空気が車内に漂い、気持ちが良い!
この寝台急行51列車の時刻表では、本来の到着時刻が6時06分となっているので、25分の遅れでここまで来たということですね。
あれ、昨夜バンコクの発車も25分遅れだったはず・・。
ということは、その後1分の遅れも出さずにこの長距離を走ったということではないか!
日本だったら、何をそんなことで驚いている、当たり前じゃないか!と思われそうですが、タイ国鉄は、終点が近くなるにつれ「必ず」遅延が増えるというのが当たり前なはずなのです。
走れば走るほど遅れる・・、と今まで思っていたのですが、やればできるじゃないか!
最近はタイ国鉄も新車を投入したり、イメージ向上に頑張っているようですね。
山岳地帯を走り続ける寝台列車
ウタラディットを発車して、しばらくは北部ののどかな田園地帯を走りますが、途中からだんだんカーブが増えてきて、列車の速度が落ちます。
プレー県との県境付近には「ラムナムナン国立公園」があり、ここから終点のチェンマイにかけてだんだんと標高を上げていきます。
小雨が降る中、窓を全開にして写真を撮ります。
すると雨の匂いが混じった、新緑の香りが車内に吹き込んできます。
気温は23℃。
結構肌寒いですね。
列車は時速50キロ程度で右に左にとカーブを曲がっていきます。
TV番組「世界の車窓から」のテーマソングとナレーターの声が聞こえてきそうですね!
これも、エアコンなし列車の醍醐味です。
こんな景色には、年季の入った車両の、古ぼけた窓枠がとてもよく似合います。
ウタラディットを出てから、約1時間をかけて勾配が続く山岳地帯を走り抜けると「デンチャイ駅」に到着。
この駅でも、パラパラと列車を降りる人が。
バンコクで長いこと働き、しばしの休暇を故郷で家族と過ごす人たちでしょうか。皆ダンボールや麻袋など、大きな荷物を持っています。
どうやらバンコクで買ってきたお土産のようですね。
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峠越えでさらに標高を上げて
デンチャイを発車した列車は、どんどん山間部に入っていきます。
途中、山を越え、橋を渡り、谷を越え・・
この先ランパーン県にかけては峠越えのルートを辿ります。
山の中にある、小さな可愛らしい駅に停車。
反対側から「ゴーっ」とディーゼルエンジンの音が近づいてきます。
3両編成の上り普通列車とすれ違いのようです。
線路が単線のため、列車は走行中にすれ違うことができません。よって、このように反対側の列車が来るまで途中駅で待ってなくてはなりません。
これが列車遅延の主な原因であります。
向こうの列車は全て3等エアコンなし自由席の気動車(ディーゼルカー)ですね。車内の様子をみるとほぼ満席のようですね。
歯磨き、そしてシャワーを浴びよう
さて、終点のチェンマイまであと4時間あまりで到着します。
車内では、係員が寝台をたたみに来ていますので、ガチャガチャと騒がしい。
このまま寝台のまま横になって過ごすこともできますが、目が完全に覚めてしまったので、ここら辺で身支度を整えてきましょう。
まずは歯磨き。
列車に備え付けのアメニティーはありませんので、必要な分は自分で持ってくる必要があります。
3列並んだ洗面台が、なんとも夜行列車っぽくていいですね!
揺れる車内で歯を磨きながら、すれ違う乗客同士が朝の挨拶を交わします。
この車両は外国人が多いので「Good morning」の声が聞こえてきます。
ちなみにタイ人同士が朝の挨拶をすることはほとんどありません。朝の挨拶の言葉自体がないのです。
いや、あることはあるんですが、これはラジオ放送が始まった時に無理やり作った挨拶言葉なので、一般人には浸透していません。
強いて言うならば、顔を合わせた時に「ニッ」と微笑むのがタイ式の挨拶。
こちらは便所。
頑張って綺麗に清掃されているのですが、残念ながら臭いまでは消えません。
排水口からは「線路」が見えます(笑)
つまり・・・
走行中に外にぶん投げちゃうスタイルですね・・・。
今では考えられないかもしれませんが、日本でも私が子供の頃はまだこんな列車が走っていましたよ!
財布やスマホをポケットに入れていると、スルっと落ちてしまいます。便器に落としたら最後なので、要注意!
そして、車内にはなんとシャワー室が!
もちろん「お湯」なんて高級なものは出ません。水です!
しかも外気温の20℃くらいに冷やされていて、ブルブルと震えながら浴びます。
でも、体がベトベトしているのでありがたく使わせていただきます。
無料で、制限時間なし。
なんて太っ腹なんでしょう。
こちらも排水口からは線路が見えます。指輪とか時計とか落としたら一巻の終わりなので気をつけてくださいね!
さて、汗も流したし、歯も磨いたし。
あとはゆっくりと席で過ごしましょう。
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チェンマイに向けてラストスパート
ランパーンを発車してしばらくすると、最後の峠「ドーイクンターン国立公園」に差し掛かります。ここが結構な難所。
小さなトンネルや崖にかけられた橋をいくつも越えていきます。
窓からは相変わらず心地よい風が吹き込んできて、気分は最高!
小さな駅をいくつか過ぎ、列車は最後の停車駅「ランプーン駅」に到着。
ここはチェンマイのベッドタウンみたいな街。あとは直線的に一気にチェンマイまで走り抜けます。
ランプーンを発車してからは約10分で終点のチェンマイ。
車掌さんはマイクのアナウンスではなくて、肉声で「チェンマーイ、チェンマーイ」と伝えながら歩いて回ります。
それを聞いて車内は一斉にざわつき、みんな降りる支度を始めます。
ほどなくして、列車は定刻より25分遅れのまま12時26分、チェンマイ駅のホームにゆっくりと進入しました。
チェンマイへは鉄道旅行がおすすめ
今回は、バンコクからチェンマイまで、寝台列車を利用し14時間かけて移動しました。
結論、「また乗りたい!」
タイでの鉄道旅行をおすすめする人
1.時間的に余裕がある人
今回は25分遅れで済んでいますが、普段は2時間とか平気で遅れたりします。また移動時間も14時間と結構なものなので、スケジュールに時間的な余裕が必要です。
2.旅の風情を感じたい人
陸路でコトコトと進んでいく実感が欲しいタイプの人(私みたいな人)には特におすすめします!
エアコン付き寝台車は窓が開かず、窓には直射日光防止のフィルムが貼ってあるので写真を撮れません。外の風を浴びたい人はエアコンなしで!
3.ある程度我慢強い人
飽きっぽい人、移動することに旅情を求めない人には、飛行機利用をおすすめします。
とにかく乗車時間が長い!
4.寝台車で寝付けなくても大丈夫な人
線路状態が良くないので、列車は横揺れが結構ひどいです。
もし寝付けないまま朝を迎えてもイライラしない人、それも含めて楽しめる人向きです。
まとめ
日本ではもう無くなってしまった、機関車が牽引する客車の寝台列車。
ここタイでは未だに現役で走っているどころか、線路は複線化工事が進み、最近では新型の寝台車が投入されるなど、さらに発展してきています。
速さや便利さでは飛行機やバス移動には勝てませんが、鉄道には独特の魅力がいっぱい詰まっています。
鉄っちゃんも、そうでない人でも、きっと楽しい旅になると思いますよ!
タイ国鉄のチケット予約はこの記事にまとめてあります。
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